2020 Fiscal Year Research-status Report
子宮内膜(脱落膜)オルガノイドモデルの構築から挑む妊娠高血圧症候群の病態解明
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19K09765
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
吉江 幹浩 東京薬科大学, 薬学部, 准教授 (50434014)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 脱落膜 / オルガノイド培養 / 妊娠高血圧症候群 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト子宮内膜を構成する間質細胞は、受精卵(胞胚)の着床に向けて、主に卵巣(黄体)に由来するプロゲステロンの作用下において分化(脱落膜化)する。月経周期の分泌期において脱落膜化が起こり、妊娠の成立とともに胎盤の基盤となる脱落膜が形成される。この母体側の脱落膜化の障害は、胎盤形成異常の原因となる。そのため、脱落膜化は、胎盤形成異常に起因する妊娠高血圧症候群(HDP)などの妊娠関連疾患と密接な関係があると考えられる。 本年度は、主に内膜間質細胞の生理的な脱落膜膜化機構の解明を試みる一環としてプロゲステロン関連因子の役割について検討し、典型的なプロゲステロン受容体とは異なるプロゲステロン受容体膜構成因子の脱落膜化過程での発現制御メカニズム及び脱落膜化に伴う間質細胞の老化様変化との関係を明らかにした。また、流産患者の脱落膜組織における本因子の発現変動も確認している。現在、昨年度に確立した細胞外マトリックスを用いた内膜上皮オルガノイドにおける発現調節についても検討している。今後、内膜上皮細胞、間質細胞細、内膜幹細胞を用いた、より生体環境に近い子宮内膜オルガノイドの確立を試みるとともに、単層培養系での脱落膜化機構との差異についてより深く検証する。さらにHDPの発症と脱落膜化との関係について当初の計画に従い、HDP既往歴のある子宮内膜サンプルを用いたオルガノイド培養系を確立し、HDP特異的脱落膜関連因子やそのネットワークの同定・機能解析を行うことでHDPの病態解明にアプローチする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
子宮内膜上皮のオルガノイド培養系については概ね確立できているが、間質細胞や内膜幹細胞との共培養による高次元での内膜オルガノイドについては検討できていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き、より生体内環境に近い子宮内膜オルガノイドの確立を試みるとともに、単層培養系での脱落膜化機構との差異を明らかにする。さらに妊娠高血圧症候群(HDP)を経験した子宮内膜サンプルでのオルガノイド培養系を構築し、HDP特異的脱落膜関連因子・ネットワークを同定・解析する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大防止に伴う非常事態宣言の発令に伴い、年度初めの研究が当初の予定より遅れたため、その解析費用を消費できなかったこと、また、旅費を伴う学会参加が全て中止となったため。
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Research Products
(13 results)