2021 Fiscal Year Annual Research Report
酸素・エネルギー代謝解析によるHIF-1を機軸とした子宮内膜炎症応答の解明
Project/Area Number |
19K09766
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
中尾 朋子 関西医科大学, 医学部, 講師 (00465642)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 英孝 関西医科大学, 医学部, 教授 (80330182)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 子宮内膜環境 / HIF-1 / 低酸素 / 炎症 / EMT |
Outline of Annual Research Achievements |
報告者らはこれまでヒト子宮内膜においてVEGF産生におけるHIF-1シグナル経路を介した血管新生の制御機構を報告してきた。一方”HIF活性化=低酸素”だけでは説明し得ない現象も明らかとなっており、増殖因子や炎症性サイトカインによる活性調節とのクロストークにより細胞の酸素・エネルギー代謝を調節する因子としてHIF-1は注目されている。本研究では新たな視点から「子宮内酸素環境-HIF-1-炎症」の相互関係を解析し、それらが子宮内膜由来の上皮細胞、間質細胞の分化・機能に与える影響を検討することである。前年度までの研究で炎症性サイトカイン、低酸素によりHIF-1αが誘導されるのを確認し、さらに低酸素に炎症性サイトカインを加えることにより相乗効果を認めた。2021年度はHIF-1αタンパク質発現におけるPI3K、MAPKシグナルの関与を調べるためこれらの経路のキナーゼ阻害剤の効果を検討した。その結果、キナーゼ阻害剤によりIL-1βが介在するHIF-1レベルが減衰した。またIL-1βがERK1/2のリン酸化を促進することが知られている。子宮内膜上皮細胞において炎症性サイトカインの投与または低酸素は、p38とERK1/2のリン酸化レベルを増加させ、低酸素に炎症性サイトカインを加えることで、ERK1/2とp38の更なる活性化を検出した。炎症性サイトカインと低酸素に曝露した子宮内膜上皮細胞の遺伝子エンリッチメント解析を行い、共通する遺伝子群を見出しHIF-1α経路、EMT(上皮間葉転換)、細胞接着に関与していることを同定した。EMTは炎症や低酸素によって誘導されることが知られている、炎症性サイトカインにより発現が増加するEMT関連転写因子のSLUGやMMP3はHIF-1α阻害剤によって発現が抑制された。これにより炎症や低酸素によって誘導されるEMTにHIF-1αが介在することを示した。
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Research Products
(1 results)