2020 Fiscal Year Research-status Report
子宮内膜症患者の卵巣予備能に影響する因子に関する探索研究
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19K09767
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
辻 勲 近畿大学, 医学部, 非常勤講師 (20368335)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 謙臣 近畿大学, 医学部, 教授 (20452336)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | チョコレート嚢胞 / 妊孕性 / 遺伝子変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
チョコレート嚢胞を有する女性において嚢胞摘出術を行うと、35歳以上では残存卵巣機能が障害され、妊孕能が低下するが、35歳未満では妊孕能が維持されることを見出し、2020年にActa Medica Kindai Universityに論文発表した。 一方、チョコレート嚢胞合併不妊患者に対する嚢胞反復穿刺吸引術+ジェノゲスト併用療法が生殖補助医療(ART)の治療成績に及ぼす影響に関して調査する前方視的観察研究を開始し、現在進行中である。目標症例数は研究群が61例、コントロール群61例であり、これまで各群ともに約20例が登録された。 また、チョコレート嚢胞の発生メカニズムを分子的に探索しようと異所性子宮内膜腺管をレーザーマイクロダイセクションで回収し、PIK3CA変異解析を行ったところ、高頻度にPIK3CA変異を認めることが明らかとなった。さらに、PIK3CA変異は正所性子宮内膜にも認められることが明らかになった。そして、内膜症関連卵巣癌におけるPIK3CA変異も確認した。このように、子宮内膜症はoncogenic mutationを有する腫瘍性病変であることも明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
後方視的研究はすでに論文化できた。また前方視的研究では順調に症例登録が行われている。さらに、研究開始時には想定していなかった結果として、チョコレート嚢胞の腫瘍としての性質が遺伝子変異解析によって明らかになったことで、研究内容が深まってきている。
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Strategy for Future Research Activity |
チョコレート嚢胞を有する女性の妊孕性改善を目指して、臨床研究および基礎研究を行う。具体的には現在行っている前方視的観察研究を継続し、症例を登録する。そして、チョコレート嚢胞のみならず、正所性子宮内膜、内膜症関連卵巣癌の遺伝子変異解析を通じて、チョコレート嚢胞の病態を深く理解することを目指す。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症蔓延の影響で学会や研修会に参加することができなかったため、旅費の支出がなく次年度に繰り越すこととなった。令和3年度は学会参加費用、論文作成費用に加え、遺伝子変異解析にも支出する。
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Research Products
(1 results)