2023 Fiscal Year Annual Research Report
卵胞の成熟と絨毛細胞分化を制御する新たな共通因子Hippo経路の分子機構の解明
Project/Area Number |
19K09777
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
水谷 哲也 福井県立大学, 看護福祉学部, 教授 (90322734)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 絨毛細胞 / 顆粒膜細胞 / YAP / TAZ |
Outline of Annual Research Achievements |
Hippo pathwayは、細胞増殖や器官サイズを制御するシグナル伝達系として明らかになっている。Hippo pathwayによるシグナルは、最終的に転写共役因子YAP/TAZの活性を制御することで様々な遺伝子の発現を調節している。 我々は、YAP/TAZが転写因子TEADを介して胎盤絨毛細胞および卵巣顆粒膜細胞の分化を調節する共通因子であることを世界に先駆けて発見している。そこでYAP/TAZ-TEADがどのようなメカニズムで遺伝子発現を調節しているか明らかにするため、ヒト絨毛細胞由来BeWo細胞およびヒト顆粒膜細胞由来KGN細胞を用いて検討した。コヒーシン複合体RAD21は卵巣がんにおいてYAP/TEAD4を介してインターフェロンシグナルを抑制することが報告されている( Deng et al. JCI 2022)。本研究ではRAD21がBeWo細胞およびKGN細胞においても転写調節に関与しているか明らかにするため、RAD21ノックダウンによる遺伝子発現への影響を検討した。その結果、KGN細胞においてRAD21のノックダウンによりYAP/TAZ-TEAD標的遺伝子であるCYP19A1やCYP11A1遺伝子の発現が誘導された。しかしながら、BeWo細胞ではRAD21ノックダウンによるYAP/TAZ-TEAD標的遺伝子の発現への影響は認められなかった。 以上の結果から、YAP/TAZ-TEADによる遺伝子発現調節メカニズムは卵巣と胎盤において異なる可能性が示された。
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