2021 Fiscal Year Research-status Report
胎児由来mRNA/microRNAの機能解析とその臨床的意義に関する研究
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19K09782
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
永田 愛 (東島愛) 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (00549595)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 清徳 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (00363490)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 胎児機能 / miRNA / 間葉系幹細胞 / miR-518b / 妊娠高血圧腎症 / 胎児発育不全 |
Outline of Annual Research Achievements |
1) 臍帯血、胎児血を用いた胎児特異的microRNAの同定:母体血液細胞に比べ胎児/新生児の血液細胞で高い発現を示すmiRNAとして、15個のmiRNA(miR-370, miR-452, miR-485-5p, miR-432, miR-136, miR-136*, miR-433, miR-323-3p, miR-494, miR-409-3p, miR-431, miR-654-5p, miR-376a*, miR-370*, miR-377*)が同定された。さらにこれらのうち、miR-452を除く14個のmiRNAは14番染色体のmicroRNA clusterに存在していた。これらのmiRNAは胎盤でも高発現していたため、胎盤と比較して臍帯血で2倍以上の発現を示すものを解析したところ、hsa-miR-370, hsa-miR-409-3p, hsa-miR-654-5pが選択された。これら3つのmiRNAは、より胎児の状態を反映している可能性が示唆された。 2) 間葉系幹細胞の解析:絨毛膜板、絨毛および脱落膜より培養した間葉系幹細胞(MSC)における妊娠関連microRNAの発現パターンを解析したところ、miR-518bおよびmiR-517aは、胎児由来である絨毛膜板および絨毛由来MSCにおいて母体由来である脱落膜由来MSCに比較して有意に発現が高かった。また、絨毛由来MSCにおけるこれら2つのmiRNAの発現量は、妊娠時期による影響を受けず一定であった。さらにmiR-518bを絨毛由来MSCに導入し、miR-518bが調節する遺伝子を解析したところ、13個の候補遺伝子が同定され、それらは妊娠高血圧腎症や胎児発育不全の病態形成との関連が報告されていた。 産前産後の休暇および育児休業のため、2021年8月1日~2022年10月31日の間補助事業を中断予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
妊娠時期の異なる正常妊娠例や妊娠高血圧腎症、胎児発育不全などの異常妊娠の症例の検体(母体血、臍帯血、脱落膜、絨毛、羊膜、羊水)採取を行い、それらから間葉系幹細胞を培養し、その成長速度や性別による機能の差などについて検討を進めているが、得られる臨床検体が上半期はやや少なく、また研究代表者の育児休業による研究中断のため、やや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
胎盤由来間葉系幹細胞の特性解明に向けて、正常妊娠群の胎盤の各構成部位から間葉系幹細胞を培養し、成長速度の差について検討したり、異常妊娠あるいは胎児の性別による間葉系幹細胞のmiRNAに機能的な差があるか検討を行う予定。
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Causes of Carryover |
妊娠時期の異なる症例から検体採取を進めているが、本年度は得られる臨床検体がやや少ない傾向にあり、また研究代表者の育児休業による研究中断のため検体数の不足が生じ、次年度使用額が生じた。次年度も引き続き検体採取を進めるため、次年度使用額はこれらの検体からのmRNA/miRNA抽出に当てる。また、その他に間葉系幹細胞の培養に必要なフィブロネクチンやmRNA/miRNA発現解析に用いるリアルタイムPCRに必要なプローブの購入、次世代シークエンス解析に使用予定である。
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