2022 Fiscal Year Research-status Report
胎児由来mRNA/microRNAの機能解析とその臨床的意義に関する研究
Project/Area Number |
19K09782
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
永田 愛 (東島愛) 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (00549595)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 清徳 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (00363490)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | microRNA / C14MC / C19MC / 胎児特異的 / 胎盤特異的 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで我々は、臍帯血、胎児血を用いた胎児特異的microRNAの同定を行い、母体血液細胞に比べ胎児/新生児の血液細胞で高い発現を示すmiRNAとして、15個のmiRNA(miR-370, miR- 452, miR-485-5p, miR-432, miR-136, miR-136*, miR-433, miR-323-3p, miR-494, miR-409-3p, miR-431, miR-654-5p, miR-376a*, miR-370*, miR-377*)を同定した。これらのうち、miR-452を除く14個のmiRNAは14番染色体のmicroRNA cluster(C14MC)に存在している。また、過去に胎盤特異的microRNAを同定し、それらが19番染色体のmicroRNA cluster(C19MC)に存在していることを報告している。 妊娠の時期別に正常妊娠、異常妊娠の検討を行っていたが、妊娠初期の子宮内の検体を得ることが難しいという問題点が存在していた。現在、妊娠のより早い段階でのC14MC、C19MCに注目し、当院で生殖補助医療を行なった症例における胚培養液中のmicroRNAの解析を行っている。 産前産後の休暇および育児休業のため、2021年8月1日〜2022年10月31日研究を中断した。2022年11月1日より研究を再開している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
継続的に研究検体の採取を行なっているが、妊娠初期の子宮内検体が得られにくいという問題点があった。妊娠初期の検討については、生殖補助医療で用いられる胚培養液を用いて胚の機能を解析する手法を導入した。 現在の生殖補助医療では、体外受精時に移植する胚の選択指標として形態学的グレード分類(Veeck分類/Gardner分類)が用いられている。しかし着床率や生児獲得率と関連した受精胚自体の機能を推定する分子マーカーは同定されていない。近年、胚培養液中には受精胚から放出される様々なmicroRNAが検出されることが報告されており、胚移植前に受精胚の機能を推定できる可能性が期待されている。当科ではこれまでに正常もしくは周産期疾患合併妊娠と関連する胎盤特異的microRNAや、母体血漿中における妊娠関連胎児/胎盤特異的microRNAを同定してきた。本研究は、胚移植前に着床率や生児獲得率が高いと推察される良好胚を選択するため、客観的かつ非侵襲的に受精胚の機能を評価できる胚培養液由来分子マーカーの同定を目的としている。対象は、2022年に当院で不妊治療(体外受精)を行なった患者100名とした。胚移植当日の受精胚培養液を用いて、受精胚由来microRNAをRT-qPCRを用いて定量解析した。また、対象を妊娠背景、妊娠転帰、生化学的検査の結果をもとに、①生児獲得した群、②妊娠判定(血中hCG値)陽性後、生児獲得に至らなかった群、③妊娠判定陰性群の3群に後方視的に分けて、miRNAの定量解析結果とあわせて本研究の目的とする分子マーカーの同定を現在行なっている。 本来破棄される検体を用いるため非侵襲的であり、定期的に検体数も集まるため概ね順調に解析が進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
①生児獲得した群、②妊娠判定(血中hCG値)陽性後、生児獲得に至らなかった群、③妊娠判定陰性群の3群に後方視的に分けて、胚培養液中のmiRNAの定量解析を行い、妊娠の転機と検出されるmicroRNAの種類、胚培養液への流出量に相関があるかについて検討を行なっていく予定である。
|
Causes of Carryover |
妊娠初期は流産や異所性妊娠などの異常妊娠に至らなければ絨毛等の検体を得る機会がないことから、妊娠初期に関する研究が遅延していた。これに代わる方法として、生殖補助医療で使用する胚の培養液に着目し、2022年11月より胚培養液中のmicroRNAの解析を開始している。次年度も引き続き胚培養液中のmircoRNAの定量を継続していく予定である。胚培養液中のmicroRNA定量のため行うRT-qPCRに必要なRNA抽出キット、PCRプローブやmasterMIXの購入、ELISAキットの購入に使用予定である。
|