2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K09785
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
河村 七美 国際医療福祉大学, 医学部, 研究員 (70323152)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 可野 国際医療福祉大学, 医学部, 助教 (00511073)
河村 和弘 国際医療福祉大学, 医学部, 教授 (10344756)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | CNP / 高齢不妊 / 卵胞発育 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢不妊の原因である卵巣機能不全は残存卵胞数の減少と卵胞発育能の低下からなるが、卵巣機能不全に有効な治療法は確立されていない。高齢女性では卵胞のFSH(Follicle stimulating hormone)受容体の発現が低下するため、既存のFSH製剤による卵胞発育効果は低い。CNP (C-type natriuretic peptide)はFSHシグナルの下流で卵胞発育を促進することから、高齢女性の卵胞発育効果が期待される。そこで、本研究ではCNPによる効率的な卵胞発育誘導法を開発し、高齢不妊女性の新規不妊治療法の創出を目指す。以下の研究項目を計画している。 ①CNPによる高齢マウスの卵胞発育誘導法の至適化を行う。②CNPによる高齢マウスの卵胞発育誘導効果の分子基盤を解明する。③高齢マウスへのCNP投与による卵胞発育誘導の妊娠に対する安全性の確認を行う。④CNPによる卵胞発育誘導法のヒトへの有効性を検証する基礎試験を行う。 48-50週齢の高齢マウスにCNPまたはFSHを腹腔内投与し、2日後にhCGを投与して排卵させ、卵管内の排卵卵子数を計測して比較し、同時に卵巣を採取し、組織学的に排卵卵胞数および各発育段階の卵胞の割合を調べたところ、CNPの至適投与量を見出すことができた。また高齢マウスでは、FSHに対する反応性が低下し、CNPのみでは卵胞発育誘導効果が弱く、予備試験で得られた、CNPが高齢マウスの顆粒膜細胞のFSH受容体の発現を増加させる知見を応用し、CNPを前投与してFSH受容体の発現を高めた後FSHを投与したところ、排卵卵子数の増加を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は予定していたCNPによる高齢マウスの卵胞発育誘導法の至適化を行うことができ、CNPを用いた高齢マウスの2次卵胞発育誘導のプロトコールの作製が完了した。CNPは複数のメーカーから販売されているが、卵胞発育誘導に有効なのは一部のメーカーのCNPのみであり、今後の研究実施に重要な知見が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は研究計画に従って、下記の研究項目を実施する。 ②CNPによる高齢マウスの卵胞発育誘導効果の分子基盤を解明する。 ③高齢マウスへのCNP投与による卵胞発育誘導の妊娠に対する安全性の確認を行う。 ④CNPによる卵胞発育誘導法のヒトへの有効性を検証する基礎試験を行う。
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Causes of Carryover |
今年度は他の研究課題で使用予定であった余剰の高齢マウスを本研究開発に流用したため、実験動物購入費の予算執行額を抑えることができた。また試験に使用したCNPもこれまであったストックを使用したので、分子生物学的試薬の予算執行額を抑えることができた。次年度以降に予定している実験には、より多くの高齢マウスと分子生物学的試薬が必要となるため、本年度の予算を次年度に繰り越して使用する予定である。
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