2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K09785
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
河村 七美 国際医療福祉大学, 医学部, 研究員 (70323152)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 可野 国際医療福祉大学, 医学部, 助教 (00511073)
河村 和弘 国際医療福祉大学, 医学部, 教授 (10344756)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | CNP / アンチエイジング / 卵胞発育 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢不妊の原因である卵巣機能不全は残存卵胞数の減少と卵胞発育能の低下からなるが、卵巣機能不全に有効な治療法は確立されていない。高齢女性では卵胞のFSH(Follicle stimulating hormone)受容体の発現が低下するため、既存のFSH製剤による卵胞発育効果は低い。CNP (C-type natriuretic peptide)はFSHシグナルの下流で卵胞発育を促進することから、高齢女性の卵胞発育効果が期待される。そこで、本研究ではCNPによる効率的な卵胞発育誘導法を開発し、高齢不妊女性の新規不妊治療法の創出を目指す。以下の研究項目を計画している。①CNPによる高齢マウスの卵胞発育誘導法の至適化を行う。②CNPによる高齢マウスの卵胞発育誘導効果の分子基盤を解明する。③高齢マウスへのCNP投与による卵胞発育誘導の妊娠に対する安全性の確認を行う。④CNPによる卵胞発育誘導法のヒトへの有効性を検証する基礎試験を行う。 本年度は、CNPによる卵胞発育誘導法のヒトへの有効性を検証する基礎試験として、高齢マウスへのCNP投与による卵胞発育誘導の妊娠に対する安全性の確認を行った。高齢マウスの卵胞発育誘導のために至適化したプロトコールに従ってCNPを投与し、体重異常、外表・形態異常、行動異常の有無を確認したが、特に異常を認めず、また、主要臓器を摘出して組織標本とし、組織変化を調べたが、特に変化は認めなかった。さらに、CNP投与群、非投与群のマウス由来の卵子を用いて体外受精・胚培養を行い、受精率、胚盤胞到達率を調べたが、 CNP非投与群との間に有意な差はなかった。その後、胚盤胞を偽妊娠マウスの子宮に移植し、体外受精19日目に帝王切開して着床率、流産率、産仔獲得率を比較したが、こちらも有意な差を認めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は予定していた高齢マウスへのCNP投与による卵胞発育誘導の妊娠に対する安全性の確認を行うことができた。しかし、COVID-19のパンデミックのため一時的に実験が困難となり、予定していた CNP投与による卵胞発育誘導のヒトへの有効性に関する非臨床POCの取得のための、ヒト非黄体化顆粒膜細胞株および卵胞活性化療法で余剰となった高齢女性のヒト卵巣皮質組織を用いた実験が完了しなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ヒト非黄体化顆粒膜細胞株を用いて、CNP添加による細胞増殖、エストロゲン産生能、cGMP産生能について調べ、CNPのヒトへの有効性を検証する。さらに、不死化した細胞株では、CNPによる卵胞発育誘導効果が得られない可能性があるため、卵胞活性化療法の臨床試験で余剰となった高齢女性のヒト卵巣皮質組織を、重症免疫不全マウスの腎皮膜下に移植し、マウスにCNPを投与して2次卵胞の発育誘導効果を調べる試験も行う。
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Causes of Carryover |
本年度は、昨年度に引き続きCOVID-19のパンデミックのため一時的に実験が困難となり、予定していたヒト非黄体化顆粒膜細胞株および高齢女性のヒト卵巣皮質組織を用いたCNPによる卵胞発育誘導法のヒトへの有効性の評価試験を十分に実施することができなかった。臨床試験で余剰となった高齢女性のヒト卵巣皮質組織を、重症免疫不全マウスの腎皮膜下に移植し、マウスにCNPを投与して2次卵胞の発育誘導効果を調べる試験には多くの予算が必要となるため、次年度に予算の多くを繰り越して研究を継続することとした。
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