2020 Fiscal Year Research-status Report
閉経後の高脂肪食に対する食物依存性の形成と大豆たんぱく質による抑制
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19K09789
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Research Institution | Tokyo Health Care University |
Principal Investigator |
小宇田 智子 東京医療保健大学, 看護学部, 准教授 (30391098)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 閉経 / 高脂肪食依存 / ドーパミン |
Outline of Annual Research Achievements |
閉経モデルマウスを用いて、閉経後の高脂肪食への依存形成について、行動実験およびその作用機序を組織学的に検討した。また、次年度は閉経後の高脂肪食への依存形成を、大豆たんぱく質が阻害するかどうかを検討する予定である。 行動学的実験は、明暗ボックスにて実施した。明ケージに高脂肪食、暗ケージに通常食を設置し、条件付けを行った後、明暗ケージそれぞれの運動量、立ち上がり回数および滞在時間を測定した。マウスは暗い場所を好むため、通常は暗ボックスへの滞在時間等が長くなる。その結果、高脂肪食を摂食した閉経モデルマウスは、明ケージにおける運動量、立ち上がり回数および滞在時間が増加し、通常食あるいは高脂肪食を摂食した閉経していない群や通常食を摂食した閉経群など他の群とは異なる傾向がみられた。この結果は、閉経後の肥満などの生活習慣病の発症リスクの増加に、高脂肪食などの摂食欲求の亢進がかかわっている可能性を示している。脂肪含有率の高い食事の摂取機会が多い現代社会において、閉経後の高脂肪食の摂食欲求の亢進を抑制することは重要な課題である。そのため、閉経後の高脂肪食への依存形成について、機序を明らかにすることは重要である。 また、閉経により分泌量が激減するエストロゲンは、依存を形成するドーパミン活性を亢進する。そこで、脳内の腹側被蓋野および側坐核における、ドーパミン活性を検討するため、ドーパミンレセプターとドーパミントランスポーターの発現状況について、組織学的に検討している。 昨年度は、行動学的データについて学会発表を予定していたが、COVID-19のため、発表を見送った。今年度は、組織学的データを含め、発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
行動実験の結果の作用機序の解明方法の一つとして、免疫組織学的な検討を実施している。しかしながら、抗体反応の条件検討で時間を要し、当初の予定より遅れている状況である。しかしながら、抗体反応条件がほぼ決定したため、今後はスムーズに実験が実施できる。 また、COVID-19の感染拡大のため、在宅での仕事を余儀なくされた期間が長くあり、このことも実験の進行が遅れている原因である。2021年度は、感染しないよう十分に留意し、当初の予定通り研究を進めるよう計画している。
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Strategy for Future Research Activity |
閉経モデルマウスを用いて、高脂肪食摂食への依存が、大豆たんぱく質により抑制されるかどうかを、行動学的に検討する。さらに、その作用機序について分子レベルおよび組織レベルで明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
2020年度は、COVID-19の関係で、計画していた実験がやや遅れ気味であり、また、研究発表ができなかったため、その分の旅費などにより次年度使用額が生じた。 また、本研究では購入予定であった機器が購入できなかったため、2021年度は生じた次年度使用額を用いて受託を予定している。
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