2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K09809
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
長安 実加 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (80623496)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 翔 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (20825236)
小林 浩 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (40178330)
小川 憲二 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (60623494)
河原 直紀 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (70623495)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 合成致死 / PIK3CA遺伝子変異 / 卵巣明細胞癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
卵巣明細胞癌は白金製剤を主体とする化学療法に対して抵抗性が高いため、極めて予後不良な疾患である。欧米では上皮性卵巣癌に占める明細胞癌の割合は6-8%と低いものの、本邦では25%以上を占めている。このため、とりわけ本邦においては治療成績を向上させる新たな治療戦略の構築が求められている。従来の殺細胞性の抗癌剤と異なり癌細胞の特定分子に結合して効果を発揮する分子標的薬が次々と開発されており大変注目されているが、残念ながら卵巣明細胞癌において劇的に奏効する分子標的薬は未だないのが現状である。 本研究の位置づけとしては、PIK3CA遺伝子変異に対する合成致死候補に対する阻害薬使用を卵巣明細胞癌における新規治療法として確立するための前臨床試験である。今回は細胞周期に関わる遺伝子群から候補となる遺伝子を検索する。更にこれらの候補についてPIK3CA野生株および変異株を用いて変異株のみ効果を示す最終候補遺伝子を見つけ出す。またPIK3CA遺伝子とこの最終候補遺伝子との関わりを解明する。この遺伝子が変異しているときにだけ特異的に作用する「合成致死」候補遺伝子を細胞周期に関わる遺伝子を中心に探索する。これによって新規治療法を確立し、安全性・有効性を確認するための前臨床試験を行う。特筆すべき点に、PIK3CA遺伝子変異は卵巣明細胞癌のみならず他の多くの癌種でも報告されていることから、本研究が人類の癌克服という目標に寄与するものと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
スクリーニングに際して最適なトランスフェクション濃度を設定するための予備試験を行っている。 PIK3CA干渉後48時間目にスクリーニングのためのsi-RNAをトランスフェクションし、更に48時間後に細胞生存率の評価を行う。したがって、48時間と96時間時点において、良好なノックダウン効率を保ちつつ、ノックダウン効率の増加による細胞生存率の差を小さくする必要がある。これらの設定値を決定するため、各濃度でPIK3CAをトランスフェクションし、48時間と96時間におけるノックダウン効率をウエスタンブロット法により測定した。更にMTSアッセイにより、各種濃度でトランスフェクションした際の96時間目の細胞生存率を測定した。
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Strategy for Future Research Activity |
PIK3CA濃度を決定することができたため、2020年度の予定は以下の通りである。 明細胞癌株のPIK3CA変異型における合成致死候補遺伝子の探索 A. 合成致死候補をsiRNAライブラリーで網羅的に探索 B. 最も効果のあるsi-RNA配列を決定 C. 上記候補遺伝子から最も効果的な遺伝子を抽出
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Causes of Carryover |
予備試験であったため、試薬等に大きな費用を必要としなかったため。
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Research Products
(1 results)