2019 Fiscal Year Research-status Report
新規インドール化合物MA-5による難治不妊の克服を目指した研究
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19K09819
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
志賀 尚美 東北大学, 大学病院, 助教 (20595558)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 高明 東北大学, 医工学研究科, 教授 (80292209)
香川 慶輝 東北大学, 医学系研究科, 助教 (30728887)
立花 眞仁 東北大学, 大学病院, 准教授 (30431571)
渡邉 善 東北大学, 大学病院, 助教 (40722567)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 精子 / ミトコンドリア / ATP / 受精能 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は精子機能、受精能に関するMA-5の効果を検証する実験を中心として行った。まず、MA-5のリガンドであるミトフィリンの発現を免疫染色とウェスタンブロットにて確認し、いずれにおいてもマウス精子においてミトフィリンの発現を確認した。次にATP産生について検証を行った。精子は解糖系をメインに利用するため、解糖系の影響を抑制するためTHYにて一時間前培養して受精能獲得後の精子をグルコースフリーの培地に移し、MA-5を添加した群と添加しない群で1時間後、2時間後、4時間後、6時間後のATP量を定量的に解析した。培養1時間後と2時間後においてはMA-5の存在下にて優位に高く、相対増加率で検討すると2時間まではATPの減少がMA-5で優位に抑制していたが、4時間以後はその効果は認めなかった。つまり、MA-5は解糖系を抑制した状態において精子内ATP濃度を保つ効果が認められた。コンピューターによる精子運動の自動解析装置(CASA)においては、MA-5添加による鞭毛運動への優位な変化は認めなかった。ROSについてはMitoSOXによる酸化ストレス解析を行ったが、こちらもMA-5による抑制効果は認めなかった。次に、MA-5による受精能への影響を検証するため、前培養の培地へMA-5を添加したところ、2細胞率は対照群の73.9%に対してMA-5群が72.2%と変化はなかった。また、ミトコンドリア脱共益剤であるFCCPによる影響からの保護効果についても、2細胞期率、胚盤胞率についてDMSO群、FCCP、FCCP+MA-5群50%で比較を行った。2細胞率はそれぞれ45.8%、48.9%、と26.7%でFCCP+MA-5群で最も低く、胚盤胞率もそれぞれ88.9%、65.2%、と50%でFCCP+MA-5群で最も低値であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度予定していた精子を用いたマウス精子を用いた実験は全て予定通り終了している。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスにおいては精子においてATP濃度を保つ効果は認められたものの、その表現型としての運動能や受精能への効果は認められなかった。ヒトにおいては同様の結果になるのかは不明であり、ヒト検体を用いた検証が行えるよう倫理申請を行い、認証を得た(東北大学医学系研究科倫理委員会:2019-1-403)、現在まで3例において同意を得てヒト余剰精子を用いたHemizona assayを行っているが、未解析である。ハムスターテスト用の凍結ハムスター卵子も準備が整っており、順次精子サンプルが入り次第行える体制が整っている。また、卵子成熟についても、既にマウス卵子を用いたIVMを確立しているため、順次行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は今年度の研究を効率的に推進したことに伴いマウスの発注が予想より少なく済んだことにより発生した未使用額である。令和2年度請求額と合わせて令和2年度の卵子成熟過程の解析と胚発育における効果の検証のための実験消耗品に使用する予定である。
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