2020 Fiscal Year Research-status Report
婦人科がんにおける新規免疫チェックポイントの機能解析と複合的免疫療法の開発
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19K09832
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
西尾 浩 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (90445239)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩田 卓 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (30296652)
谷口 智憲 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (40424163) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | がん免疫療法 / 制御性T細胞 / 卵巣癌 / 免疫寛容 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.制御性T細胞(Treg)における Nr1のin vivo機能解析:Nr1のin vivoでの機能を解析するため,EAE mouse modelを用いて, Nrn1KOmouseもしくはNrn1WTmouseよりFCSAriaIIよりsortingしたTregをEAE model mouseに移植し,炎症性病態モデルであるEAEの制御が可能であるかを比較検討した.EAE発症後,Nrn1WT mouseより得られたTregを移植した場合は時間経過と共にEAEの進行は制御可能であったが,Nrn1KOmouseより得られたTregを移植した場合,EAEはTreg移植後も進行した.即ち,Nrn1の発現はTregの制御機能維持にin vivoにおいても重要であり,in vivoモデルにおいてもその機能は重要であると考えられた. 2. RNA sequenceによるNrn1の機能解析: Nrn1WTマウスもしくはNrn1KOマウスのそれぞれ3匹ずつよりCD4T細胞をFACS AriaIIを用いてsortingした.RNAを抽出し,RNA sequenceを行いFPKM値をWTとKOで比較した上で,発現変化の大きい遺伝子群を抽出した.Heatmapを作成後,Pathway解析およびGSEA解析を行った.その結果、Nrn1がT細胞のanergyと関連する遺伝子と発現状態が連動することが示され,これまでin vitroおよびin vivoで得られた結果に矛盾しないことが示された.さらに,anergyと関連する遺伝子群を抽出して,FPKM値をWTとKOで比較したところ,Nrn1KOCD4T細胞での発現が優位に低下していることが示された. 以上よりNrn1は制御性T細胞の機能維持およびT細胞のanergyでの発現とその機能維持に重要な分子であると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度はNrn1の発現解析を中心に研究を遂行した.当初Treg細胞群での発現が予想されていたが,本検討ではanergy populationでの発現も認めた.すなわちNrn1は単にTreg細胞に特異的に発現している分子ではなく,CD4T細胞が抗原に対して反応しなくなった状態においても発現している点は,極めて新しい知見を得たと言える.次年度である2020年度は発現解析に引き続き,機能解析を中心に行った.これまで得られていた研究データがRNA sequenceを用いても同様に示された.今年度は主にマウス腫瘍モデル,ヒト検体を用いた機能解析を中心に進める予定であり,当初の研究計画通り順調に進んでいると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
1. 腫瘍モデルマウスでのT細胞誘導増強法の検討 In vivo腫瘍モデルマウスの検討ではヒト卵巣がんの癌微小環境を反映するマウス細胞株(ID8)および,Cre/loxPの系を用いたsyngeneic卵巣癌マウスを用いて内在性腫瘍抗原特異的な免疫を誘導し,抗Nrn1抗体,生体内でのがん細胞死を誘導できる分子標的薬や化学療法剤などの薬剤,T細胞活性化抗体(抗CTLA-4抗体や抗PD-1抗体)を用いて内在性腫瘍抗原に対するT細胞機能促進方法を検討する.ID8細胞では抗原特異的な反応を確認するため,遺伝子強制発現株を作成し,抗原特異的な反応をin vitroでも確認する. 2. ヒト検体でのNrn1の機能解析 腹水を含めたヒト卵巣がん検体を用いて,がん微小環境でのNrn1の発現解析,また治療効果と関連性についての検討を行う.前年度と同様RNA sequenceを用いてヒトでの発現解析も行う.
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Causes of Carryover |
初年度は主として細胞株を用いたNrn1の発現解析を中心に行い,2020年度はRNA sequenceの解析を行った.当初予定していた腫瘍モデルマウスの実験を最終年度に遂行予定であり,予定していた使用金額に加え,繰り越した金額も含めて使用予定である.さらにヒト検体での解析にも費用が必要である.
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[Journal Article] Tumor-infiltrating lymphocytes predict survival outcomes in patients with cervical cancer treated with concurrent chemoradiotherapy2020
Author(s)
Akiko Ohno, Takashi Iwata, Yuki Katoh, Shiho Taniguchi, Kohsei Tanaka, Hiroshi Nishio, Masaru Nakamura , Tohru Morisada, Guanliang Chen, Miyuki Saito, Tomonori Yaguchi, Yutaka Kawakami, Daisuke Aoki
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Journal Title
Gynecol Oncol .
Volume: 159
Pages: 329-334
DOI
Peer Reviewed