2021 Fiscal Year Research-status Report
視床下部性性腺機能抑制における視索前野領域ミクログリアの役割の証明
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19K09836
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
藤岡 仁美 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (50410064)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
萩原 裕子 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (90468207)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | GnRH / ミクログリア / ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
機能性視床下部性性腺機能低下はストレスと関連があることが知られている。申請者らは先行研究で、感染ストレス負荷により、終板器官(OVLT)のミクログリア でのIL-1βの発現増加と、LHサージ状分泌の抑制が並行して起こり、ミクログリア/MΦ活性化阻害でこれらが回復することを明らかにした。しかし、ミクログリ アのGnRHおよびLHサージ状分泌抑制への関与の証明にまでは至っていない。本研究はこの結果を更に発展させ、「OVLTのミクログリアの活性化が視床下部レベル で作用しGnRH/LHサージ状分泌を抑制する」との仮説をたて、これを検証することを目的とした。 令和3年度は、ミクログリアを特異的に除去する系として、LE-Tg(OTTC1005) CX3CR1-Cre-ERT2ラット(ミクログリア/Mφ系細胞でタモキシフェン誘導によりCreリコンビナーゼが活性化する組換え遺伝子をラット)へ、AAV-Iba1-mCherry-DIO-DTA(ミクログリア特異的にmCherryを発現しCreリコンビナーゼ活性によりDTAを発現する組換え遺伝子を持つアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター)を投与する系を検討した。 まず、タモキシフェン未投与の個体においてmCherryの発現とその局在を、抗Iba1抗体と抗mCherry抗体を用いて免疫組織化学的に検討した。その結果、mCherryの発現はミクログリアでは観察されなかった。原因として、ミクログリアに組換え遺伝子が導入されていない可能性、組換え遺伝子は導入されているが発現が弱い可能性などが考えられる。今後、遺伝子導入効率を上げる観点からAAVセロタイプの検討、遺伝子発現を上げるためプロモーターを替えたAAV-CMV-mCherry-DIO-DTA投与による検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和3年度は、LE-Tg(OTTC1005) CX3CR1-Cre-ERT2ラットを用いて、ミクログリアを操作する実験に着手する目的で、まずAAV-Iba1-mCherry-DIO-DTAの投与実験を行ったが、ミクログリアで導入遺伝子を発現させることができなかった。その後、投与部位や投与量なども条件を変えて検討を重ねたが、いまだミクログリアで導入遺伝子を発現させるに至っておらず、研究の進捗は遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、遺伝子導入効率を上げる観点からCAG-GFPを含むAAVセロタイプの異なるAAVベクターをラットの脳内に投与し、ミクログリアでのGFP発現を比較し最適なAAVセロタイプを検討する。また、遺伝子発現を上げるためプロモーターをIba1プロモーターからCAGに替えた、AAV-CMV-mCherry-DIO-DTA投与による検討を行う予定である。ミクログリアへの遺伝子導入の条件が決定次第、速やかにミクログリアを特異的に除去する実験を、続いてDREADDによるミクログリア活性化を抑制する実験の検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
令和3年度は、ウイルスの購入と、ラットへのウイルスによる遺伝子導入の条件検討のための消耗品、免疫染色のための試薬などの購入を行ったが、ミクログリアで導入遺伝子を発現させることに難航しているため、 計画していた実験試薬・投与ウイルスなどの購入費の一部が次年度に繰り越し、次年度使用額が生じた。
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