2020 Fiscal Year Research-status Report
ARID1A不活性化変異による卵巣明細胞癌の発がん機構の解明
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19K09837
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
上川 篤志 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 研究技術員 (60534253)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ARID1A |
Outline of Annual Research Achievements |
ARID1A遺伝子変異による機能喪失は、多くのがんで頻繁に見られる現象であり、ARID1Aは真のがん抑制遺伝子であることがわかってきた。本研究は、まだ不明な部分が多いARID1Aのがん抑制機能の中でも、細胞増殖制御と細胞競合との関係という新たな概念に焦点を当てた解析から、ARID1A発現が消失したARID1A変異細胞がどのように周囲の正常細胞と相互作用しながらがん化へと至るのかについて解明することを目的としている。 今年度は、昨年度に樹立したヒト正常子宮内膜上皮細胞を不死化させた細胞を用いて、蛍光タンパク質で標識し、CRISPR/Cas9によりARID1Aノックアウト細胞を樹立した。これらの細胞を用いてARID1A発現の有無による細胞競合現象のタイムラプス観察を継続している。また、ARID1Aのノックアウトに含めて内在性のARID1A遺伝子発現を促進あるいは抑制するような細胞の樹立も試みている。さらに、近年技術革新が目覚ましいCRISPR/Cas9システムのプライム編集技術を用いて、ARID1A変異細胞株のARID1A遺伝子修復を行い、ARID1A発現を回復させた場合の変化を解析している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、ARID1A発現の有無による細胞競合現象のタイムラプス観察を継続してきた。その過程で、ARID1Aのノックアウト細胞では表現型を正確に評価できないと考え、内在性のARID1A遺伝子発現を促進あるいは抑制するような細胞の樹立も試みている。また、ARID1A遺伝子修復実験を開始したこともあり、間接的な培養条件や分泌因子を介した細胞競合、あるいは各種阻害剤や遺伝子導入させた場合などの条件で細胞競合を観察するところまで進めることが出来なかったため、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ARID1A発現細胞・欠損細胞を用いたタイムラプス観察において、様々な条件における細胞競合現象への影響を解析する。また、細胞競合現象においてARID1A発現細胞と欠損細胞を共培養させたときのみに起こる分子変化や境界面で起こる変化などの同定をRNA-seq、細胞表面抗原アレイ解析などにより進める。
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Causes of Carryover |
昨年度は、効率良く予算を使用してきたため次年度使用額が発生した。 次年度使用額は、細胞競合現象におけるARID1A発現細胞と欠損細胞、あるいは内在性のARID1A発現を促進・抑制した細胞を共培養させたときのみに起こる分子変化や境界面で起こる変化などの同定をRNA-seq、細胞表面抗原アレイなどの解析のために使用する。
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