2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K09839
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
坂田 直昭 福岡大学, 医学部, 准教授 (50431565)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉松 軍平 福岡大学, 医学部, 准教授 (50569275)
小玉 正太 福岡大学, 医学部, 教授 (90549338)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 膵島移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
膵島移植後の治療成績には向上の余地があり、ドナー膵臓が慢性的に不足しているという問題も抱えているため、ドナー組織を有効利用して治療効果を高める工夫が必要である。羊膜は、免疫寛容の場であり、抗炎症作用や血管新生促進作用といった優れた特性を持ち、膵島移植の治療効果を高める生体材料として期待される。 本研究では、羊膜内部に膵島を封入した膵島封入羊膜を作成し、この移植よる治療効果を明らかにすることを目指す。具体的には、糖尿病動物に対して同種同系、異系、または異種動物の膵島を封入した羊膜を移植し、いずれのモデルにおいても膵島の生着が得られ糖尿病が改善すること、さらには羊膜と同じ構成成分の人工羊膜を開発し、これで作成した膵島封入羊膜の移植でも前者と同様の治療効果が得られることを明らかにする。 今年度は前年度の研究成果(羊膜の採取、膵島の回収)のもと膵島封入羊膜の作成を進めた。しかしながら羊膜による膵島の完全なる密封は困難であったことから、方策の変更を余儀なくされた。そこで細胞外基質であるマトリゲルを利用することを考えた。マトリゲルは体温でゲル化する性質があることから生体接着剤として利用することができる。まず羊膜をあらかじめ糖尿病マウスの腋窩に留置し、マトリゲルの散布によりこれを固定した。2週間後に腋窩を解放し、羊膜を同定して内腔を開放し、その中に膵島をマトリゲルとともに封入し、羊膜で閉鎖した。この手法により膵島封入羊膜の皮下移植モデルを成立させることができた。500膵島を皮下に留置した羊膜に封入した糖尿病マウスには血糖値が正常化したものも認められた。 一方、前年度に腹腔内白色脂肪組織に膵島移植を行い、良好な治療成績が得られたことを受け、その移植効率を検証した。優れた移植効率を発揮する腎被膜下膵島移植と比べ、白色脂肪組織への膵島移植は遜色のない移植効率を発揮することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前述の通り、今年度は妊娠マウスからの羊膜採取、ドナーマウスからの膵島採取、膵島封入羊膜の作成手法の見直しを行った。マウスの羊膜はその小ささと薄さにより、ハンドリングを行うことは困難と言わざるを得ない。皮下にあらかじめ羊膜を移植し、その内腔に膵島を移植する手法でモデルとしては成立をみたものの、羊膜を使わないモデルとの比較検証は今後のことになる。
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Strategy for Future Research Activity |
今回試作したモデルの有効性の検証を進める。同時に膵島封入羊の試作についても引き続き進めていく。加えて副次研究として、白色脂肪組織への移植のモデルとその有効性、メカニズムについても明らかにしていく。
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