2019 Fiscal Year Research-status Report
仮想現実と前庭感覚代行技術を用いた次世代ハイブリッド前庭リハビリテーションの開発
Project/Area Number |
19K09847
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
佐藤 豪 徳島大学, 病院, 講師 (30464358)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 憲昭 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (30206982)
松田 和徳 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (60721785)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | sensory reweighting / 前庭リハビリテーション / 一側性前庭機能障害 / 視覚依存 / 体性感覚依存 |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景】姿勢制御は、視覚・前庭感覚・体性感覚からの情報が中枢神経系で統合処理されることで行われる。姿勢制御に関わるこれらの感覚情報の重み付けは、環境、身体活動、疾患により変化し、sensory reweightingと呼ばれる。慢性のめまい患者では、疾患によって姿勢制御に対するsensory reweightingの進行が異なる可能性がある。【方法】今回、慢性の一側性前庭機能障害(28例)、メニエール病(23例)、健常人(30例)に対してラバー負荷重心動揺検査を行い、姿勢制御に対する視覚依存性と体性感覚依存性についてDHI(めまいのQOL)とともに比較検討した。【結果】一側性前機能庭障害患者とメニエール病患者は健常人と比較して開眼、閉眼時の重心動揺面積は有意に大きかった。一側性前庭機能障害患者のラバーロンベルグ率(視覚依存性)はメニエール病患者や健常人と比較して有意に大きかったが、閉眼ラバー比(体性感覚依存性)は3群間で有意差はなかった。視覚・体性感覚依存性がともに高い症例は、ともに低い症例と比較してDHIと重心動揺検査が有意に小さかった。【考察】慢性の一側性前庭機能障害患者では視覚依存性を高くして姿勢を安定化させるようにsensory reweightingが誘導されている可能性が考えられた。さらに、一側性前庭機能障害患者の中でも、視覚・体性感覚依存度がともに高まると、めまいのQOLが改善することが示唆された。一側性前庭機能障害では体性感覚依存度を高める平衡訓練を行うことでめまいの自覚症状をさらに改善できるのではないかと考えられた。今後、仮想現実や前庭感覚代行装置を用いた前庭リハビリテーションを行いsensory reweightingが安全に誘導できる適切な刺激法を検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
仮想現実と前庭感覚代行技術を用いた前庭リハビリテーションを開発するに当たって、一側前庭機能障害患者の姿勢制御に対する視覚依存度が高まっていることが確認された。さらに体性感覚依存度を高めるsensory reweightingを誘導するような前庭リハビリテーションを開発することができれば患者の姿勢制御やQOLが改善することを確認できた。 仮想現実刺激を行うためのVirtualis lab社製のソフトウェアであるVirtualisはヨーロッパからの輸入が必要であり、導入に時間がかかった。
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Strategy for Future Research Activity |
一側前庭機能障害患者の姿勢制御が視覚依存性であることが明らかとなったため、次年度は仮想現実を用いて、視覚刺激方法、刺激時間などの至適条件を検討する予定である。仮想現実はVirtualisに加え、同じHTC VIVEを用いた仮想現実刺激を開発する。Virtualisでは肢運動刺激やoptical flow刺激の条件を設定し、新しい仮想現実刺激ではvisual vestibular conflict刺激を行うことができるソフトウェアを開発する。まずは健常人に対して検討を重ね、sensory reweightingを誘導する前庭リハビリテーションの開発を目指す。
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Causes of Carryover |
理由:既存のTPADが故障せずに運用ができたため、予定台数のTPADの購入を行わなかった。また、付属の記録メディアの購入も行わなかったため。さらに、COVID-19感染症の流行により研究施設の使用が制限され、関連学会も中止が相次いだため。 使用計画:今後、バーチャルリアリティ-刺激のためのヘッドマウントディスプレイ(HTC-VIVE)の新規購入および姿勢制御の記録撮影や解析のためのタブレット端末の購入を予定している。故障した際にTPADの追加購入も必要になる。
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