2020 Fiscal Year Research-status Report
仮想現実と前庭感覚代行技術を用いた次世代ハイブリッド前庭リハビリテーションの開発
Project/Area Number |
19K09847
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
佐藤 豪 徳島大学, 病院, 講師 (30464358)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 憲昭 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (30206982)
松田 和徳 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 徳島大学専門研究員 (60721785)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | sensory reweighting / 前庭リハビリテーション / 一側性前庭障害 / 視覚依存 / 体性感覚依存 / 両側前庭障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景】我々は、これまでHMD(ヘッドマウントディスプレイ)法やCAVE(投影スクリーン)法によるバーチャルリアリティー(VR)により、仮想空間でvisual vestibular conflict(VVC)刺激を負荷したタスクを行わせると、静的姿勢制御の視覚依存性が低下することを明らかとした。しかし、これまでのHMD法やCAVE法では没入感に乏しく、動揺病の一つであるVR酔いを引き起こす問題点があった。そこで新しいHMDを用いたVR刺激を開発し、VR酔いを発症しないvisual vestibular conflict刺激の至適条件を検討した。【方法】健常人を対象とした特定臨床研究の研究実施計画書、患者説明文書、同意書を作成し、臨床研究審査委員会の承認を得た。ハードウェアとして最新のHMDとVVC刺激を負荷できるソフトウェアの開発を行った。健常人10名を対象とし、HMDを装着した状態で、VVC刺激を負荷した。刺激条件は、遅延0.2秒、0.3秒、0.4秒をそれぞれ4分間刺激し、3日間連続で行った。刺激前後で重心動揺検査および動揺病の指標であるGraybiel scoreを検査前後で調べた。【結果】健常人にVVC刺激を3日間連続で行うと、重心動揺検査の閉眼時の単位軌跡長が有意に低下した。3日間連続で刺激するとラバーロンベルグ率が徐々に低下した。一方、全例がVR刺激を完遂し、VR酔いのために中止した症例はなかった。遅延時間が長いほどGraybiel scoreが大きくなる傾向を認めた。【考察】HMD法によるVVC刺激による平衡訓練は、静的姿勢制御の視覚依存性を低下させ、感覚再重み付けを誘導することで姿勢を安定化させると考えられた。遅延時間を徐々に延ばしたVVC刺激を反復することでVR酔いの発症を予防できる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
仮想現実と前庭感覚代行技術を用いた平衡訓練を開発するに当たって、動揺病の一つであるVR酔いを引き起こさない視覚刺激方法の開発を行った。visual vestibular conflict刺激の場合、遅延時間を延ばしたVR刺激を反復刺激することにより、姿勢制御に対する視覚依存性が低下し、姿勢が安定化することが分かった。 VR刺激酔いを引き起こさないためには、視覚情報負荷を徐々に上げることが必要であることが分かった。新型コロナウイルス感染症の拡大のためボランティアが集まらなかったために、進捗がやや遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
VR刺激で動揺病を引き起こさないvisual vestibular conflict刺激の方法、刺激時間などの至適条件が明らかとなったため、次にVirtualisによるoptokinetic刺激やoptical flow刺激の条件を設定し、健常人および前庭障害患者に対してVR刺激を行い、ラバー負荷重心動揺の変化を検討する。さらにTPADを併用することで静的姿勢制御が改善するか検討を行い、新しいハイブリッド前庭リハビリテーションの開発を目指す。
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Causes of Carryover |
理由:付属の記録メディアの購入も行わなかったため。さらに、COVID-19感染症の流行により研究施設の使用が制限され、関連学会も中止が相次いだため。 使用計画:今後、バーチャルリアリティ-刺激のための仮想現実による刺激機器の追加および学会、雑誌での成果発表を予定している。故障した際にTPADの追加購入も必要になる。
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Research Products
(2 results)