2019 Fiscal Year Research-status Report
噛むと飲むの交差点:神経基盤の解明と嚥下障害治療への応用
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19K09849
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Research Institution | Yamagata Prefectural Yonezawa University of Nutrition Sciences |
Principal Investigator |
齋藤 和也 山形県立米沢栄養大学, 健康栄養学部, 教授 (20301997)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 嚥下 / 振動刺激 / フィードバック |
Outline of Annual Research Achievements |
超高齢社会が進み誤嚥性肺炎が死因の上位を占める我が国において、健康寿命を延ばすため、高齢者の嚥下機能を維持・向上させることは喫緊の課題である。嚥下機能低下に伴う誤嚥をもたらす変化として、咀嚼から嚥下反射への移行の遅延が多くの症例で観察されることはよく知られている。しかしながら咀嚼から嚥下反射への円滑な移行のための神経基盤は不明の点が多く、また現在でも研究対象になることは少ない。 本研究課題は、咀嚼中に閉口筋の筋紡錘からフィードバックされる体性感覚情報が、咀嚼から嚥下反射への移行のタイミングを決定するための信号として機能しているという仮説に基づき、一連の嚥下運動動態への影響およびその情報伝達様式を明らかにすることを目的として計画された。 平成31(令和元)年度は、ヒトを対象として閉口筋筋紡錘を特異的に興奮させた時の嚥下動態への影響を解析することが目標であった。そのために咀嚼・嚥下運動中に閉口筋(咬筋・側頭筋)へ周波数および振幅を変化させながら振動刺激刺激を加える刺激系を構築した。一方記録系では、振動刺激と同時に咀嚼・嚥下動態を従来の表面筋電図測定だけでなく、舌運動電位測定や赤外線による舌骨・甲状軟骨運動の観察など、いくつかの新しい測定技術の可能性を探った。これら刺激系と記録系の組み合わせによる実験セットアップをほぼ完成した。 しかしこの実験は人を対象とするものなので、検者と被検者の接触がある程度避けられないため、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、実際のデータ取得の段階には至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験に必要なセットアップの構築までは順調に進んだが、その後の新型コロナウイルス感染症の流行により、人を対象とする実験は遂行できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナ感染症の状況が落ち着くと同時にデータ取得を開始する。その一方で、感染症の流行が長引く事態も想定し、動物(アカハライモリ)を対象とした実験は計画通り並行して進めて行く予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症の影響で、人を対象とした実験によるデータ取得が予定よりも進まず、そのため、消耗品や論文投稿料として考えていた助成金が手つかずに終わった。次年度、遅れている人対象の実験を可及的すみやに行う予定であり、その際の消耗品購入費用に充てるため、使用目的自体の変更はほとんど無い予定である。
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