2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of a rabbit model for assessment of surgical treatment for adductor spasmodic dysphonia
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19K09853
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
讃岐 徹治 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 准教授 (10335896)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江崎 伸一 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (20620983)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 痙攣性発声障害 / チタンブリッジ / 甲状軟骨形成術2型 / 動物モデル / 声門下圧 |
Outline of Annual Research Achievements |
内転型痙攣性発声障害は難治性希少疾患であり、診断や治療は高い専門性を要す。他覚的検査による診断基準は未だ設けられておらず、診断されるまでに年月を要する患者は少なくなく、ボツリヌス毒素の局所注射や手術といった治療が行われているが、疾患の希少性から治療の比較は困難である。当研究では痙攣性発声障害ウサギモデルを作成することで、病態や診断、治療に対して解明を図る。 麻酔を施行後に、ウサギの喉頭と気管を露出して、2ヶ所の気管切開をおいた。尾側の気管切開口は気道確保とし、頭側の気管切開口からは空気流を流し、同時に声門下圧を測定した。甲状軟骨形成術IVを施行すると声帯がスリット状に変化し、空気流を流し吹鳴を起こした。両側の反回神経を同定し愛護的に電極を設置し、一定の刺激条件下で電気刺激を行うと、スリット状の声帯が過内転を起こし、詰まった音を得た。これが内転型痙攣性発声障害ウサギモデルである。痙攣性発声障害ウサギモデルに、甲状軟骨形成術II型を加えると詰まった音は改善した。吹鳴時、痙攣性発声障害ウサギモデル、甲状軟骨形成術II型を加えた状態の3つの条件で、声門下圧と内視鏡所見、音響分析をそれぞれ評価した。これらからは、痙攣性発声障害ウサギモデルにおいて、声門の過閉鎖が引き起こされていること、甲状軟骨形成術Ⅱ型により過閉鎖が抑制されていることが示唆された。 以上から、in vivoとしては初となる痙攣性発声障害ウサギモデルを作成し、疾患動物モデルとしての妥当性と、甲状軟骨形成術Ⅱ型においては喉頭枠組みの変化による空気力学的変化が関係していることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験動物の購入制限など、コロナ禍での制約が生じた1年ではあったが、下記の通り進行中である。 昨年度からの実験を重ねることで、ウサギに対して安定した麻酔の維持ができるようになり、実験動物にとってより苦痛の少ない処置が行えている。また、頸部操作時に出血などで難渋することも少なくなった。反回神経を同定する際には当初、過度な刺激や牽引による麻痺も見られたが、神経麻痺を来すことなく、同定し遊離することができるようになった。電気刺激に関しては、当初はフック型電極を使用しており、反回神経が引き延ばされることで、神経麻痺することがあった。そのため、神経を愛護的に包むカフ電極を購入し使用することで、神経麻痺することなく実験が行えるようになった。経口的軟性喉頭内視鏡も既存の太い内視鏡から細い内視鏡に変更したこと、および内視鏡操作手技の向上により、さらに実験動物に苦痛を与えないようにしている。測定環境に関しては、コンピュータの同軸時間上に声門下圧や音、電気刺激を記録することで、各々の関係性を比較検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
作成した内転型痙攣性発声障害ウサギモデルを用いて、治療を各々行い、声門過閉鎖の改善など比較検討を行う。1つはすでに施行している甲状軟骨形成術II型、2つに甲状披裂筋切除術、3つにボツリヌス毒素局所注入である。 内転型痙攣性発声障害ウサギモデルに、3つの手術や処置を行う。甲状軟骨形成術II型は甲状軟骨の開大を維持するために、チタンブリッジを用いる。術後、軟性喉頭内視鏡下に過閉鎖が改善しているか確認する。また、声門過閉鎖からくる声門下圧の上昇がどの程度抑制されるか、そして音声がどの程度改善されるかを検討する。 さらに、治療の持続効果を調べるため、治療後のウサギを再度飼育して、1、3、6ヶ月後に同様の測定を行う。各々の治療により、内転型痙攣性発声障害の発声困難の原因である声門過閉鎖が、どの程度抑制されその効果が維持できているかを比較検討する。
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Causes of Carryover |
COVID-19感染に伴い、情報収集や成果発表を目的にした出張などがなかったことから、次年度使用額が生じた。 次年度は、動物用チタンブリッジの制作費用に利用する予定である。
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