2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K09864
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
杉本 寿史 金沢大学, 附属病院, 講師 (20547179)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 腎コロボーマ |
Outline of Annual Research Achievements |
PAX2は眼,中枢神経および尿生殖器(腎,尿管,性器)の発生過程に関与し,その異常は同部位の形態・機能異常の原因となることが知られている。聴覚器の発生にかかわる遺伝子をも制御するため、その異常により感音難聴などの感覚器の先天異常を引き起こす。今回の研究で申請者はPAX2のヘテロ遺伝子異常により発症する腎コロボーマ症候群患者の内耳生理機能と形態異常を分析し、同時にPAX2ヘテロノックアウトマウスの聴覚器異常およびその脆弱性について解析する。PAX2ヘテロ遺伝子異常を持った生体が、生下後どのような聴覚器異常を呈するのかを機能および形態の両面から解析し、同時にその脆弱性を分析することで聴覚器におけるPAX2の役割を解明する画期的な研究である。その第一段階として今年度はまず腎コロボーマ患者の聴力パターンの解析を行った。共同研究機関である当院腎臓内科は腎コロボーマ症候群患者を27症例有し、その症例数をいかして世界に先駆けて研究を行ってきた。そしてPAX2ヘテロ遺伝子異常の存在が腎機能と眼コロボーマの状態を有意に悪化させる可能性のあることを明らかにしている。今回当院腎臓内科との共同研究にて腎コロボーマ症候群患者の聴力データを解析した。聴力は標準純音聴力検査にて測定した。さらに歪成分耳音響放射(distortion product otoacoustic emission:DPOAE)、チンパノメトリー、耳小骨筋反射、を合わせて行うことで難聴のパターンを解析した。また、PAX2遺伝子異常の存在が腎機能と眼コロボーマの状態を有意に悪化させることが共同研究施設の研究で判明している。今回これらの他臓器臨床症状と内耳の機能・形態、さらにはPAX2遺伝子異常の間の相関の有無について解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
27名のすべてのデータを解析できていない状態であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
残りの患者のデータを解析する。 さらにPAX2およびKif26bヘテロノックアウトマウスの難聴パターンを小動物用ABRにて解析する。生後1~6ヶ月、7~9ヶ月、10~15ヶ月の3群に分類し、加齢による変化が存在するかどうか解析する。マウスとヒトの聴力障害パターンが一致するか確認する。
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Causes of Carryover |
腎コロボーマ症例の聴力解析がやや遅れており解析するための物品(解析ソフトなど)の購入が必要無かったため、次年度使用額が生じた。物品の購入費は次年度に繰り越すこととした。
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