2022 Fiscal Year Research-status Report
サイトカインの網羅的解析による好酸球性鼻副鼻腔疾患の病態解析と新規治療法の開発
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19K09869
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
野田 洋平 岡山大学, 医学部, 客員研究員 (00587404)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
假谷 伸 川崎医科大学, 医学部, 教授 (10274226)
津村 宗近 岡山大学, 大学病院, 医員 (20817374) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アレルギー性鼻炎 / 鼻副鼻腔炎 / サイトカイン / ケモカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
好酸球性鼻副鼻腔炎は慢性鼻副鼻腔炎の中のサブタイプの一つであるが、喘息を合併することが多いという特徴を持つ上に、非常に難治性である。また、アレルギー性鼻炎は非常に患者数が多く、特にスギ花粉症は国民病とも言われている。 これら2つの疾患は、上気道に好酸球性炎症をきたす疾患である。これらの疾患は、患者の生活の質を下げるだけでなく、労働生産性の低下などをもたらすことが明らかとなり、社会的にも大きな問題となっている。これら2つの疾患の病態形成において、サイトカインやケモカインなどの炎症因子が重要な役割を持つことが明らかとなっている。これらの免疫関連タンパクは互いに相互作用を持ちつ つ、全体として各疾患の難治化に深く関わっている。また、プロスタグランディンも炎症因子の一つとして重要である。本研究では、好酸球性鼻副鼻腔炎症例やアレルギー性鼻炎患者を対象に組織中の各種サイトカイン、ケモカイン、 および、それらの受容体、また、各種プロスタグランディン関連因子の遺伝子発現を検討してきた。好酸球性鼻副鼻腔炎については、本邦から診断基準の提案が行なわれており、それにもとづいて重症度分類を行った。その結果、中等症・重症の好酸球性鼻副鼻腔炎症例は、非好酸球性鼻副鼻腔炎症例や軽症の好酸球性鼻副鼻腔炎症例と比較して組織中の各種炎症因子の遺伝子発現が高値であった。また、好酸球性鼻副鼻腔炎症例の中で、喘息合併症例や鼻副鼻腔手術後の再発症例は、コントロール群と比較して組織中の各種炎症因子の遺伝子発現が高値であった。昨年度は新型コロナウイルス感染症の影響もあ り、研究の進行が順調ではなかったが、これまでの結果から、サイトカインやケモカイン、プロスタグランディンを制御してゆくことがアレルギー性鼻炎や好酸球性鼻副鼻腔炎の病態解明や治療に有効であることが示唆され、今後、引き続き検討を続けてゆく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者が所属する施設では、新型コロナウイルス感染症の拡大により、研究活動に制限が設けられ、昨年度は予定していた研究が十分には遂行できなかっ た。しかし、種々の制約が加えられた状況下であったが、可能な範囲で研究を進めることが可能であった。今年度は、規制が緩和されつつあり、昨年度に実施できなかった研究を実施してゆく予定である。今後、アレルギー性鼻炎や好酸球性鼻副鼻腔炎などの上気道好酸球性炎症疾患と各種サイトカインについてさ らに検討を行い、研究を発展させる予定である。また、得られた成果は、学会発表や論文作成を通じて公表する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト由来の培養細胞やヒト臨床検体、およびモデルマウスなどを用いて、マクロファージ遊走阻止因子をはじめとするサイトカインなどの各種炎症因子がアレルギー性鼻炎や好酸球性鼻副鼻腔炎などの好酸球性上気道疾患に与える影響を検討してゆく。
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Causes of Carryover |
研究代表者が所属する施設では、新型コロナウイルス感染症の影響で、研究活動に対する制限が継続されたため、予定していた実験等を実施することが困難であった。このため、予算の執行が予定どおり進まなかった。次年度は、制限の緩和が見込まれている。ヒト臨床検体やモデルマウスを用いた実験などの研究活動に必要な費用等に充当する予定である。
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