2020 Fiscal Year Research-status Report
安静時fMRIと構造MRIの聴覚中枢解析手法を用いた聴覚疾患の診断と予後判定
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19K09881
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Research Institution | 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター) |
Principal Investigator |
南 修司郎 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), その他部局等, 医師 (00399544)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Surface-based / 聴覚関連領域 / 加齢性変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
5つの年代から27人(8-9歳6人:男3女3、14-15歳6人:男1女5、25-35歳5人:男2女3、45-55歳5人:男3女2、65-75歳5人:男3女2)のMRI構造画像を用いて解析を行った。構造画像(T1w)は、3.0テスラのMRI機器を用いて、ボクセル単位0.8mmの解像度で撮像されている。FreeSurfer6.0のSurface-based modelを用いて大脳の表面を三角形のメッシュ構造に再構成し、個々の大脳皮質容積、皮質厚、脳回指数を算出した。脳地図には脳回や脳溝に沿って分割した Desikan-Killiany atlasを用い、これまでの我々の検討から横側頭回、島皮質、上側頭回、弁蓋部を聴覚関連領域として解析を行なった。 全皮質容積では、8-9歳は他の全ての世代より、14-15歳は45-55歳と65-75歳より、25-35歳は65-75歳より、有意に大きかった。一方、弁蓋部と上側頭回でも年齢に伴う有意な変化を認めたが、横側頭回では右脳で8-9歳が65-75歳より有意に大きいのみで、左脳ではどの世代間でも有意差は認めなかった。皮質厚についても、全皮質では、8-9歳は他の全ての世代と、14-15歳は45-55歳と65-75歳と、25-35歳は45-55歳と65-75歳と、有意に差を認めた。一方、弁蓋部、上側頭回、島皮質でも年齢に伴う有意な変化を認めたが、横側頭回では、右脳ではどの世代間の有意差も認めず、左脳では8-9歳は45-55歳と65-75歳とで有意差を認める程度であった。脳回指数については、左弁蓋部で8-9歳は他の世代全てと有意差があり、左上側頭回で8-9歳は25-35歳、45-55歳、65-75歳と有意差を認めた。右弁蓋部では8-9歳と45-55歳とで有意差を認めるのみで、右上側頭回、左右横側頭回と左右島皮質ではどの世代間でも有意差は認めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
5つの年代から27人(8-9歳6人:男3女3、14-15歳6人:男1女5、25-35歳5人:男2女3、45-55歳5人:男3女2、65-75歳5人:男3女2)のMRI構造画像を用いて解析を終了し、学会報告も行った。さらに難聴者についてもこれまで10人のMRI構造画像を撮影し、難聴者脳の解析を開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、難聴者に対しても聴覚関連領域の全脳MRI解析を行うため、高度難聴以上で補聴器または人工内耳適応基準を満たす患者のリクルートを行っている。失聴期間や人工内耳の装用効果との関連を明らかにしていく予定である。また東北メディカル・メガバンクのMRIデータから聴覚中枢ターゲット解析で作成した各年代のコントロールデータベースを用いて、難聴原因毎の疾患感度、特異度のROC曲線を描き、最適なカットオフ値を設定する。
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Causes of Carryover |
高度難聴以上で補聴器または人工内耳適応基準を満たす患者のリクルートし難聴者の全脳MRIデータをより集めるため、10の研究協力機関からなる研究体制を築いた。MRI撮影費用、クラウドコンピューティングを利用したデータ解析、管理費用に使用する計画である。
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