2020 Fiscal Year Research-status Report
遺伝子パネルと全エクソーム解析による原発性線毛運動不全症の原因遺伝子の解析
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19K09886
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
竹内 万彦 三重大学, 医学系研究科, 教授 (50206942)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北野 雅子 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (20378334)
藤澤 隆夫 独立行政法人国立病院機構三重病院(臨床研究部), 独立行政法人国立病院機構三重病院, 院長 (20511140)
中谷 中 三重大学, 医学部附属病院, 教授 (80237304)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 線毛 / 遺伝子変異 / 電子顕微鏡 / コピー数 / 咳嗽 |
Outline of Annual Research Achievements |
32遺伝子のパネルにて7例に原因遺伝子を同定できた。 全エクソーム解析にて、5例の患者において本邦では初めてとなる5つの異なる遺伝子に変異を見出した。このうちPIH1D3とDNAH9を原因とする原発性線毛運動不全症(PCD)症例について詳述する。 PCDの多くは常染色体劣性遺伝形式をとるが、X連鎖遺伝PIH1D3のコピー数多型によるPCD症例を経験した。症例は満期産で出生した男児。湿性咳嗽を主訴とし、精査目的で紹介受診となった。呼吸器症状が新生児期から持続していた。鼻粘膜線毛の電子顕微鏡検査では、80%の線毛に外腕ダイニンおよび内腕ダイニンの欠損が、68%の線毛に中心微小管の欠損が、38%の線毛に周辺微小管の数の減少がみられた。全エクソーム解析による遺伝学的検査ではPIH1D3の上流からエクソン1から5を含む全長約44kbの欠損が認められた。この遺伝子は、外腕ダイニンと内腕ダイニンを組み立てる蛋白をコードしており、電子顕微鏡所見と一致した。 呼吸器症状が比較的軽微だった5歳女児にDNAH9の複合ヘテロ変異を見出した。1歳半以降、感冒に罹患した後に湿性咳嗽を繰り返すようになった 鼻腔一酸化窒素産生量は14.5nl/minと低値であった。鼓膜所見は正常、鼻部エックス線では右上顎洞に陰影を認め、胸部エックス線は正常であった。鼻粘膜の電顕所見では、ダイニン外腕が不明瞭であった。全エクソーム検査にて、DNAH9に複合ヘテロ変異を認めた。DNAH9 とDNAH5 は遠位線毛の外腕ダイニンに局在し、DNAH9に変異を入れた線毛では、線毛打頻度が低下するが、線毛の打ち方はあまり影響を受けないことが知られている。このため、DNAH9が原因のPCDでは呼吸器の徴候は軽微である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまで本邦の原発性線毛運動不全症(PCD)の原因遺伝子の多くが判明していなかったが、copy number variations (CNVs)に着目することで、令和元年度に多くの患者で原因となるDRC1遺伝子のCNVを明らかにすることができた。また、それがDRC1遺伝子の同一部位の欠失であり、これにより多彩な線毛構造の変化がおきることが明らかになった。この遺伝子の欠失は欧米では報告されておらず、日本人あるいはアジア人に特有の変異である可能性がある。 令和2年度には、32遺伝子のパネルにて7例に原因遺伝子を同定できた。全エクソーム解析にて、5例の患者において本邦では初めてとなる5つの異なる遺伝子に変異を見出した。 以上の様に当初の計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
さらに多くの症例を集積し、パネル検査と全エクソーム検査を組み合わせることによって、本邦における原発性線毛運動不全症の原因遺伝子を明らかにしていく。また、現時点で50の原因遺伝子が判明しているが、新規遺伝子を見つけることができるように努める。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Multifaceted analysis of Japanese cases of primary ciliary dyskinesia: Value of immunofluorescence for ciliary protein detection in patients with DNAH5 and DNAH11 mutations.2021
Author(s)
Kurokawa A, Kondo M, Orimo M, Honda N, Miyoshi A, Akaba T, Tsuji M, Nakatani K, Ikejiri M, Yagi O, Takeyama K, Takeuchi K, Tagaya E
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Journal Title
Respir Investig
Volume: 12
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Presentation] A pediatric case of productive cough caused by mutations in DNAH92020
Author(s)
Kazuhiko Takeuchi, Yifei Xu, Kazuki Chiyonobu, Hisami Kubo, Feng Guofei, Satoru Ogawa, Makoto Ikejiri, Kaname Nakatani , Satoko Usui, Sawako Masuda, Mizuho Nagao, Takao Fujisawa
Organizer
JSA/WAO Joint Congress 2020
Int'l Joint Research
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