2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of multidisciplinary treatment by cytokine signal inhibitor molecule gene transfer for head and neck cancer
Project/Area Number |
19K09891
|
Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
大月 直樹 近畿大学, 医学部, 准教授 (40343264)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丹生 健一 神戸大学, 医学研究科, 教授 (20251283)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 頭頸部癌 / SOCS / 遺伝子治療 / アデノウイルスベクター |
Outline of Annual Research Achievements |
頭頸部癌の中でも甲状腺癌は生物学的悪性度の低い分化癌から極めて悪性度の高い未分化癌に移行することが知られている。これまで分化癌である甲状腺乳頭癌と未分化癌との分子生物学的な比較検討がなされてきたが、未分化転化に至るメカニズムは未解明である。 昨年度までの研究から、甲状腺未分化癌の細胞株(8505c)においてSOCS3のメチル化によって発現低下が引き起こされ、増殖が促進されることが示唆されている。 今年度の研究では、分化癌として手術を施行した症例で、組織学的検査により未分化癌と判明した偶発型未分化癌の関連遺伝子およびSOCS3、STAT3、IL-6などJAK-STAT経路に関連する遺伝子のコードするタンパクについて免疫組織染色により検討を行った。その結果、すべての例でBRAFの発現が分化癌成分および未分化癌成分の両者で見られたのに対してp53は未分化癌成分のみで発現が認められた。SOCS3などJAK-STAT経路に関連する遺伝子については、免疫組織染色により75%の甲状腺乳頭癌でSOCS3のタンパク発現が認められたが、未分化癌では発現が認められなかった。このことは、SOCS3の発現低下によって未分化癌への転化が引き起こされているという仮説を支持している。今後は、免疫組織染色以外のさらなるタンパク、遺伝子発現の検討が必要と考えられる。 甲状腺未分化癌に対する治療戦略として、これまでの研究結果からSOCS3の導入により増殖が抑えられることが可能と考えられる。甲状腺未分化癌の細胞株を用いたin vitro研究では、アデノウイルスベクターによるSOCS3導入により、細胞の増殖が抑制された。さらにSTAT3、IL-6などJAK-STAT経路に関連する遺伝子について検討し、増殖抑制のメカニズムを解明するとともに、in vivo研究へつなげる予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言の発令により、現在所属する大阪府内から兵庫県内の研究実施施設への往来が制限された。in vitro研究を終了させ、in vivo研究に入る予定にしていたが、in vitro研究を継続中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後も緊急事態宣言の発令などが想定されるため、in vivo研究準備していく一方で、現在所属する研究施設で継続的に可能な解析方法を検討し、準備する。具体的には組織から採取した核酸物質を用いたゲノム解析などを計画している。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言の発令により、現在所属する大阪府内から兵庫県内の研究実施施設への往来が制限された。in vitro研究を終了させ、in vivo研究に入る予定にしていたが、in vitro研究が予定通り遂行できなかった。 また、学会発表も現地開催がほとんどなく交通費、宿泊費などが必要なく、予定額の使用ができなかった。
|