2021 Fiscal Year Research-status Report
蝸牛外側壁組織培養と生細胞蛍光イメージングを用いた難聴予防・治療戦略の探索
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19K09898
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
増田 正次 杏林大学, 医学部, 准教授 (20317225)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 難聴 / 蝸牛 / 外側壁 / 中間細胞 / 聴覚 / ストレス / 内耳 / 血管条 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の目的は、研究開始当初以来変わっていない。本研究は蝸牛外側壁(以下、外側壁と略)を分子生物学的に分析することで、難聴の予防と治療方法の確立を最終目標とするものである。特に、聴覚受容細胞のいる蝸牛への経年ストレス負荷と難聴発症との関連を中心に研究を行なっている。 2020年度中に、中耳換気能障害に伴う内耳への慢性ストレス負荷が難聴の原因となることを論文化しており、慢性ストレスが内耳障害による難聴を生じることは確認できた。この知見に基づき、これまでどおり、外側壁の組織培養を用いることで、ストレスによる外側壁障害を軽減する因子の解明を試みてきた。しかし、2年以上取り組んでいた、一部の検体にのみ生じる外側壁を構成する細胞の一種である中間細胞の増殖様現象については、その機序について解明が困難であった。 外側壁の中における中間細胞の占める割合が少数であることが、分析を困難にしている可能性があった。そのため、2021年度後半においては、中間細胞のみならず外側壁細胞全体の細胞に対し、生存、増殖を分析することを開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
COVID-19感染流行がおさまらず、研究メンバーで集合しての緊密な情報交換、実験手技指導が制限された。予想以上に、同条件下で培養を行ったとしても検体間での中間細胞生存、増殖率に大きな差が生じる原因を解明することが困難であった。しかし、次項記載の通り、方針を変更することで研究の進行スピードが回復したと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
中間細胞だけではなく、外側壁の組織培養を行なっている利点を生かし、外側壁を構成する全細胞種の生存、増殖率を分析対象としていく予定である。この方針により、臨床応用可能な既存の化合物により外側壁の細胞の増殖を促進できる可能性を観察可能であった。外側壁のなかのどの細胞腫が化合物の影響を受けているのかの同定、増殖率の定量的評価方法の選定、増力率の化合物濃度依存性の分析を行うのが次年度の具体的な研究課題である。
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Causes of Carryover |
COVID-19流行に伴い、ヒト、モノともに流れが滞り2021年度に実験のペースが落ちたことが大きな原因の一つである。分析対象の細胞腫を拡大した実験を開始しており、来年度も研究費を要する。培養機器、細胞腫同定のための化合物(主には染色のための抗体)、添加薬剤の購入に研究費をあてる。
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Research Products
(1 results)