2019 Fiscal Year Research-status Report
A comprehensive study of the vestibular function in patients with hereditary hearing los
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19K09905
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
塚田 景大 信州大学, 学術研究院医学系, 助教 (90419375)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 遺伝性難聴 / SLC26A4遺伝子変異 / 内リンパ水腫 / 前庭水管拡大 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は特に日本人において遺伝性難聴の中で2番目に多い原因遺伝子として知られるSLC26A4遺伝子変異について検索・検討を行った。SLC26A4遺伝子変異を持つ症例は前庭水管拡大を伴い聴力変動とめまい発作を繰り返し、難聴は進行性経過を示すとされている。 過去の報告では、前庭水管拡大を有するとメニエール病の病態としても知られる内リンパ水腫が存在することが、SLC26A4遺伝子変異ノックアウトマウスや側頭骨病理から推定されている。画像解析技術の進歩により近年、造影MRIによる画像検査で内リンパ水腫が同定できるようになった。この技術を応用し前庭水管拡大を伴う症例に対して、内リンパ水腫を同定する内耳造影MRIを施行した結果、内リンパ水腫を同定されたと報告されている。 しかし、前庭水管拡大はこの変異を有さない症例していることから、SLC26A4遺伝子変異症例に限定して内リンパ水腫が存在するかは不明であった。本年度は、SLC26A4遺伝子変異を有する症例に内リンパ水腫の有無を検索するために、これらの症例に対して内耳造影MRIを施行した。SLC26A4遺伝子変異を有する5症例に対して内耳造影MRIを撮影し検討した結果、すべての症例に内リンパ水腫が存在していることが明らかとなった。SLC26A4遺伝子変異による難聴の変動やめまい発作の病態はまだ十分に解明されておらず、SLC26A4遺伝子変異を伴う前庭水管拡大症例においては今回の結果で見られた内リンパ水腫がめまいや難聴の病態に関与している可能性が明らかとなり、今後の病態解明のために有用な結果が得られたと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、遺伝性難聴に対する前庭機能評価にたいするデータ収集は順調に進んでおり、解析が進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はSLC26A4遺伝子変異症例に対する検討を主に行っていたが、今後は他の遺伝子の変異を有する遺伝性難聴症例に関して解析を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
現在、データの収集の段階がメインであり、データ解析に必要な経費および今年度は発表や会議の機会が少なかったと考えられる。今後のデータ収集は継続しているが、その中でも解析できる結果が出てきており、その経費および論文・学会発表の機会の増加が予想される。
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