2023 Fiscal Year Annual Research Report
A comprehensive study of the vestibular function in patients with hereditary hearing los
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19K09905
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
塚田 景大 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 講師 (90419375)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 遺難聴難聴 / 半規管機能 / 球形嚢機能 / 卵形嚢機能 / GJB2 / SLC26A4 / CDH23 |
Outline of Annual Research Achievements |
難聴を引き起こす遺伝子の多くは、蝸牛だけではなく末梢前庭器でも発現している。そのため遺伝性難聴患者においては、難聴という表現型以外にも平衡機能障害という表現型が出現する可能性があるが、発症要因である遺伝子変異が末梢前庭器の機能に及ぼす影響については、ほとんど明らかにされていない。今回我々は、日本人の遺伝性難聴の原因遺伝子として最も頻度が高いとされるGJB2遺伝子変異症例、SLC26A4遺伝子変異症例、CDH23遺伝子変異をもつ非症候群性難聴症例の平衡機能の特徴について比較検討を行った。 遺伝性難聴患者39例(GJB2 13例、SLC26A4 15例、CDH23 19例)について、めまいの頻度、前庭機能(温度刺激検査、cVEMP、oVEMP)を検討した。 GJB2、SLC26A4、CDH23遺伝子変異症例のめまい症状の既往がある頻度は、GJB2 7.7%, SLC26A4 73%, CDH23 9.1% でSLC26A4遺伝子変異症例では、GJB2、CDH23遺伝子変異症例と比較しめまい頻度が高い結果となった。 前庭機能検査のうち温度刺激検査、cVEMP、oVEMPいずれかの検査で異常を来した症例について検討を行ったところ、GJB2 69%、SLC26A4 73%、CDH23 55%の症例で何らかの前庭機能障害を認めた。温度刺激検査異常の頻度はSLC26A4遺伝子変異症例が47%と最も多く、cVEMPにおける機能低下の頻度は、GJB2遺伝子変異症例で67%で最も多かった。oVEMPにおける機能低下の頻度はいずれの遺伝子でも頻度に明らかな差は各遺伝子変異症例で認めなかった。 これらの結果から、遺伝性難聴として頻度が高いこれらの遺伝子変異症例には何らかの前庭機能障害を呈することが明らかとなり、各遺伝子毎に前庭機能障害の程度や障害部位に差があることが判明した。
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