2020 Fiscal Year Research-status Report
Vestibularsuppressantが前庭代償に与える影響:動物モデル研究
Project/Area Number |
19K09911
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
松田 和徳 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 徳島大学専門研究員 (60721785)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 憲昭 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (30206982)
佐藤 豪 徳島大学, 病院, 講師 (30464358)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 前庭代償 / ヒスタミンH3受容体 / 免疫組織化学 / 前庭神経核 / MK801 / vestibular suppressants / 自発眼振 |
Outline of Annual Research Achievements |
Betahistine(BH)は、ヒスタミンH1受容体作動薬として血流改善作用によりめまいを抑制するとされており、抗めまい薬として臨床で用いられている。その後、BHがヒスタミンH3受容体拮抗作用を持つことが明らかになった。そこで 抗ヒスタミン薬であるBHの前庭代償の促進効果を、一側内耳破壊ラットを用いて検討した。内耳破壊直後からBHを200 mg/kg/dayと100 mg/kg/dayの用量で浸透圧ミニポンプを用いてラットの腹腔内に持続注入した。BHは一側内耳破壊により誘発される自発眼振の頻度を抑制せず、消失時期も早めなかった。このことから、BHは前庭代償の前期過程には影響しないと考えられた。しかし、BHは一側内耳破壊後にMK801により健側前庭神経核に出現するFos陽性ニューロン数を、内耳破壊後7日目、10日目、12日目にsaline群と比較して有意に低下させた。また、BHの200 mg/kg/dayの用量では10日目に、100 mg/kg/dayの用量では12日目に、MK801 により健側前庭神経核に出現するFos陽性ニューロン数がsham ope群と同じレベルまで減少した。以上の結果から、BHは前庭代償の後期過程を用量依存性に促進し、前庭代償の後期過程の完成を200 mg/kg/dayの用量では4日間、100 mg/kg/dayの用量では2日間、早めたと考えられた。 BHはヒスタミン H3 受容体拮抗作用があり,前庭神経核に投射するヒスタミン神経終末のシナプス前膜に存在するヒスタミンH3受容体をブロックすることにより、 ヒスタミン遊離を促進させ、前庭神経核ニューロンの活動性を亢進させる。ヒスタミンH3受容体拮抗薬は、障害側前庭神経核ニューロンの自発発火の回復を促進することにより、前庭代償の後期過程を促進する可能性があると考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度に免疫組織化学的手法による前庭代償の前期過程と後期過程を分離して評価できる新しい評価法の確立できている。我々は、2019年度に確立した免疫組織化学的手法による前庭代償の前期過程と後期過程を分離して評価できる新しい評価法を用いて、同年にヒスタミンH3受容体拮抗薬であるThioperamideが前庭代償の後期課程を促進することを証明しており(Acta Otolaryngol. 2019 Jun;139(6):505-510)、ヒスタミンH3受容体拮抗作用を有し、日常臨床で頻用されているBetahistineの前庭代償促進効果の証明が可能であった。 今後、2021年度に実施予定のベンゾジアゼピン系薬剤が前庭代償に及ぼす影響の解明と前庭代償の前期過程を促進する薬剤の開発を実施する準備ができている。
|
Strategy for Future Research Activity |
ベンゾジアゼピン系薬剤が前庭代償に及ぼす影響の解明と前庭代償の前期過程を促進する薬剤の開発:前庭代償の前期過程のメカニズムが小脳片葉プルキンエ細胞による健側前庭神経核のGABA作動性抑制であることから、GABAA受容体作動薬であるDiazepamが、前庭代償の前期過程を促進する可能性が高いと予想している。本研究では、Diazepamが前庭代償の前期過程を促進するが、後期過程には影響しないことを明らかに、Diazepamがvestibular suppressantsではないことを科学的に証明する。
|
Causes of Carryover |
2020年度には、ヒスタミンH3受容体拮抗薬であるBetahistineが前庭代償に及ぼす影響を検討した。2019年度の先行研究結果によって、2020年度の実験計画が順調に進行したために使用薬剤や実験動物の費用を節約することができた。さらに、COVID-19感染拡大のため旅費を執行しなかったために、次年度使用額が生じた。 今後、ベンゾジアゼピン系薬剤であるDiazepamが前庭代償に及ぼす影響を検討する予定であり、翌年度分として請求した研究費と合わせて、その試薬、実験動物に用いる予定である。さらに、現在準備中の英語論文の英文校正費に支出予定である。また、国内外の学会参加費も支出予定である。
|
Research Products
(4 results)