2019 Fiscal Year Research-status Report
増悪する甲状腺乳頭癌を予測できる分子マーカー:さらなる高精度化と細胞診への応用
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19K09913
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
松瀬 美智子 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 助教 (30533905)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 甲状腺癌 / TERT |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでにPTCにおいてTERTプロモーター変異は同一腫瘍組織内の一部の癌細胞にしか存在しないことが報告されている。この変異の有無を術前に検討するためには、穿刺吸引細胞診と組み合わせる必要があるが、上述した理由から検体を採取する際に、変異陽性癌細胞が採取できない可能性がある。TERTプロモーター変異を術前診断における分子マーカーの1つとして利用可能か検討するため、術前の細胞診検体及び対応する術後の検体を用いてこれを解析し、その一致率を比較した。 TERTプロモーター変異にはhot spotが2箇所あるが、一度に両方を区別することのできる核酸蛍光プローブを設計し、droplet digital PCR法にて高感度に変異を検出できる方法を開発した。この方法で解析した結果、55歳以上、96結節の術後病理標本では、変異陽性例は28例、変異陰性例は68例であった。96結節中10例は穿刺吸引細胞診に用いた針洗浄液中のDNA量が少なく判定不能とした。残りの86結節において、穿刺吸引細胞診では4例が偽陰性、1例が偽陽性と考えられ、検出感度は84.0%(21/25)、特異度は98.4%(60/61)、陽性的中率は95.5%(21/22)、陰性的中率は93.8%(60/64)であった。以上より術前の穿刺吸引細胞診にてTERTプロモーター変異の検索は有用であり、適切な治療法選択に応用できる可能性が示唆された。 今回の研究結果から、研究当初の予想に反して同一腫瘍組織内におけるTERTプロモーター変異陽性細胞の割合が高いことが予想される。甲状腺乳頭癌のドライバー変異であるBRAF変異を癌細胞の指標として同一腫瘍組織内におけるTERTプロモーター変異陽性細胞の割合を検討中である。同時に術後病理標本をマイクロダイセクションにより分割し、この割合を検討することで、腫瘍のどの部分に変異を持った細胞があるのかを明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
術前の細胞診検体及び対応する術後の検体を用いてTERTプロモーター変異を解析し、その一致率を比較した。droplet digital PCR法にて高感度に変異を検出できる方法を開発し、この方法で解析した結果、一致率は非常に高く、術前の細胞診検体を用いて十分この変異を検出できることが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の研究結果から、研究当初の予想に反して同一腫瘍組織内におけるTERTプロモーター変異陽性細胞の割合が高いことが予想される。甲状腺乳頭癌のドライバー変異であるBRAF変異を癌細胞の指標として同一腫瘍組織内におけるTERTプロモーター変異陽性細胞の割合を検討中である。同時に術後病理標本をマイクロダイセクションにより分割し、この割合を検討することで、腫瘍のどの部分に変異を持った細胞があるのかを明らかにする。
近年、癌におけるTERTの発現亢進に関する新たなメカニズムとしてゲノム再編成やプロモーター領域のメチル化、遺伝子増幅が報告されている。TERTプロモーター変異陰性症例のうちmRNA発現陽性症例で、この領域のDNAのメチル化がTERTの発現亢進に関与しているのか検討したところ、発現量の高い症例でこの領域の高メチル化を確認した。現在、メチル化と悪性度、予後との関連を検討中である。 また、この領域のメチル化によってTERTの転写が亢進するかin vitroでの検討を行う。メチル化サイトがないレポーターアッセイ用のプラスミドにこの領域をクローニングし、メチル化酵素を用いてこの領域のメチル化が転写活性に与える影響を検討する。
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Causes of Carryover |
甲状腺癌におけるTERTの機能について検討する予定であったが、TERTプロモーター変異のクローナリティやTERT プロモーター領域のメチル化について新たな知見が得られたため、この解析を行った。このため、TERTの機能解析を次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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[Journal Article] TERT mRNA Expression as a Novel Prognostic Marker in Papillary Thyroid Carcinomas.2019
Author(s)
Tanaka A, Matsuse M, Saenko V, Nakao T, Yamanouchi K, Sakimura C, Yano H, Nishihara E, Hirokawa M, Suzuki K, Miyauchi A, Eguchi S, Yoshiura KI, Yamashita S, Nagayasu T, Mitsutake N.
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Journal Title
Thyroid
Volume: 29
Pages: 1105 1114
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] TERT promoter mutation in primary papillary thyroid carcinoma lesions predicts absent or lower 131I uptake in metastases.2019
Author(s)
Meng Z, Matsuse M, Saenko V, Yamashita S, Ren P, Zheng X, Jia Q, Tan J, Li N, Zheng W, Zhao L, Mitsutake N.
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Journal Title
IUBMB Life.
Volume: 71
Pages: 1030 1040
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] The JAK/STAT3 and NF-kappaB signaling pathways regulate cancer stem cell properties in anaplastic thyroid cancer cells.2019
Author(s)
Shiraiwa K, Matsuse M, Nakazawa Y, Ogi T, Suzuki K, Saenko VA, Xu S, Umezawa K, Yamashita S, Tsukamoto K, Mitsutake N.
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Journal Title
Thyroid
Volume: 29
Pages: 674 682
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Rapid Growth and Early Metastasis of Papillary Thyroid Carcinoma in an Adlescent Girl with Graves’ Disease.2019
Author(s)
Shimura K, Shibata H, Mizuno Y, Amano N, Hoshino K, Kuroda T, Kameyama K, Matsuse M, Mitsutake N, Sugino K, Yoshimura Noh J, Hasegawa T, Ishii T.
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Journal Title
Horm Res Paediatr
Volume: 91
Pages: 210 215
DOI
Peer Reviewed
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