2021 Fiscal Year Annual Research Report
増悪する甲状腺乳頭癌を予測できる分子マーカー:さらなる高精度化と細胞診への応用
Project/Area Number |
19K09913
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
松瀬 美智子 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 助教 (30533905)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 甲状腺癌 / TERT |
Outline of Annual Research Achievements |
TERTプロモーター(TERT-p)変異やTERT発現は現時点で強力なマーカーであるが、特異度は高いものの感度が低く(マーカー陰性例はほぼ予後が良いが、マーカー陽性例は 必ずしも予後が悪いとは言えない)、マーカー陽性症例群にも何らかの違い・追加因子が必要であることが示唆される。 TERT mRNAは複数のスプライシングバリアントが存在し、バリアントによってはテロメラーゼ活性に対するドミナントネガティブ効果や、テロメラーゼ活性以外の機能があることが報告されている。これらのバリアントの発現量が機能の違いを生み出している可能性があると考えた。 まず、比較的存在比が高いスプライシングバリアントで、exon7と8が欠失するbeta deletion(dB)とこの部分の欠失のないTERT(FL)について、デジタルPCR法を用いて発現比を検討した。全207例中33例(15.9%)がTERT-p変異陽性で、全ての変異陽性例においてTERT mRNAの発現を認めた。一方、174例の変異陰性例のうち、TERT mRNAが発現していたのはわずか24例(13.8%)であった。TERT mRNAが発現している57例を用いてTERT-p変異の有無と2種類のバリアントの発現との関連を検討したところ、FLの発現量は変異の有無で有意な差は認めなかったが、TERT-p変異陰性例は、変異陽性例に比べdBの発現量が有意に高く、FL/dB発現比が低値であった。 以上の結果により、「TERTプロモーター変異陽性のTERT発現」と「変異陰性のTERT発現」とでTERTのスプライシングバリアントの発現の比が異なることを確認した。
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[Journal Article] Preoperative detection of the TERT promoter mutations in papillary thyroid carcinomas2021
Author(s)
Nakao T, Matsuse M, Saenko V, Rogounovitch T, Tanaka A, Suzuki K, Higuchi M, Sasai H, Sano T, Hirokawa M, Miyauchi A, Kawakami A, Mitsutake N.
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Journal Title
Clinical Endocrinology
Volume: 95
Pages: 790-799
DOI
Peer Reviewed
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