2019 Fiscal Year Research-status Report
generation of inner ear supporting cells from human iPS cells
Project/Area Number |
19K09914
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
福永 一朗 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20746581)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 遺伝性難聴 / ヒトiPS細胞 / コネキシン26 / 内耳細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
遺伝性難聴は、1600出生に1人と高頻度で発症し、聴覚と言語発育に著しい障害を引き起こすため、極めて高度なQOLの低下をもたらす。特に、コネキシン26(Connexin26, Cx26)をコードするGap junction beta 2 (GJB2)遺伝子は、世界最大の遺伝性難聴の原因遺伝子である。これまで、細胞治療や薬剤スクリーニングを目的としたES/iPS 細胞の分化誘導法が複数報告されているが、いずれも有毛細胞を対象としたものであった。申請者らが2016年にマウスiPS細胞からCx26 を発現しギャップ結合プラークを構築する細胞への分化誘導法を報告(Fukunaga et al., 2016)したが、ヒトES/iPS細胞から同細胞を作製したという報告はない。 本研究課題では、最終目標である「遺伝性難聴の根本的な治療法の開発」を達成するために必要な技術等の開発を行っている。申請者らは、これまで報告例のなかったヒトiPS細胞からコネキシン26ギャップ結合を構築する内耳支持細胞への分化誘導法を開発し、薬剤スクリーニングや病態解析に用いることが可能なinvitroモデルを作製する。これまでの成果として、3次元培養と2次元培養を組み合わせることにより、ヒトiPS細胞からコネキシン26ギャップ結合を構築する細胞への分化誘導に成功した。作成した細胞は、細胞間においてギャップ結合プラーク様構造を構築し、SOX2、SPARK-L1およびCX30等の蝸牛支持細胞で観察されるマーカーを共発現していた。また、作成した細胞の機能をDye transfer assayにより評価した。その結果、分化誘導した細胞において色素の移動が観察され、細胞間ギャップ結合を介した物質の移動が行われていることが分かった。これに対し、未分化なiPS細胞やフィーダー細胞では色素の移動は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の初年度の目標は、「ヒトiPS細胞からCX26ギャップ結合複合体を構築する蝸牛支持細胞への分化誘導法の開発」であり、これまでに、①コネキシン26ギャップ結合を構築する細胞の作製、②免疫染色等によるキャラクタリゼーション、③作成した細胞の機能性の評価を行っており、おおむね当初の予測通りに進捗していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね当初の予測通りに進捗していると考えているが、分化誘導効率のさらなる向上を目指し、培養条件等の検討を行う。また、将来的に患者由来のiPS細胞からの分化誘導も行うため、現在使用している細胞株以外での分化誘導も行う予定である。
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Causes of Carryover |
COVID-19感染予防のため、参加予定であった学会が中止になり、移動の電車運賃等の使用がなくなったため。
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Research Products
(3 results)