2019 Fiscal Year Research-status Report
網膜血管疾患における動静脈に注目した網膜虚血の新しい定量的評価法の構築
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19K09925
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
石羽澤 明弘 旭川医科大学, 医学部, 講師 (50516705)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宋 勇錫 旭川医科大学, 医学部, 講師 (00726341)
下内 昭人 旭川医科大学, 大学病院, 診療助教 (60647692)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 光干渉断層血管撮影(OCTA) / 光干渉断層計(OCT) / 糖尿病網膜症 / 網膜無灌流領域 / 網膜動静脈 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は光干渉断層血管撮影(OCTA)の導入当初より、その解像度の高さから網膜細動脈周囲にcapillary-free zone(CFZ)があり、動脈を毛細血管前レベルまで同定が可能であることに報告していた(Mase, Ishibazawa, IOVS, 2016)。近年、OCTAのみでも動静脈を正確に判別できる可能性が世界的にも注目を集め始めていることに、我々もまず焦点を当てた。 そこで、上記の特徴を生かして、眼科医以外が判定しても、OCTAのみで健常人・糖尿病網膜症眼においても正確に動静脈を区別できることを本研究費のサポートを得て報告した(Ishibazawa, Waheed, TVST, 2019)。本研究では、動脈第二分枝のCFZに注目してトレースすることで、第三分枝まで約95%の確率で正解することができると分かった。一方で、動静脈交叉部の上下関係については、実際とは逆に描出されてるケースがあると世界で初めて報告し、「crossing artifact」と命名し、注意喚起した。 更に、マサチューセッツ工科大学と共同研究で、網膜血管疾患における網膜無灌流領域を自動で検出し、動脈と静脈のいずれに近接しているかを判定するソフトウェアを新たに開発した。これにより糖尿病網膜症の小さな網膜無灌流領域は動脈側優位に存在し、静脈側に向かって拡大する可能性を初めて報告した(Ishibazawa, Waheed, IOVS, 2019)。 これらの研究については、国内学会での一般演題のほか、国内研究会での多数のセミナー講演、総説の執筆(眼科, 2020, 3月号, OCT angiography アップデート)、2020年日本眼科学会においてもシンポジウムで講演し、その成果の啓蒙を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
OCTAにおいて動静脈に注目するという概念はこれまでに何度も提唱されていたが、OCTAのみで動静脈を判定しても正確であるということを示すevidenceはなかった。本基盤研究を進めるにあたり、まずこの課題について向き合う必要があった。結果は明瞭であり、OCTAのみでも動静脈を簡単に判定できることを示し、米国視覚と眼科学研究協力会議(ARVO)の機関誌の1つであるTranslational Vison Science & Technology (TVST)に掲載を得ることができた。本研究と同様の研究が、同時期に、他の研究室からARVO2019の学会内でも報告されており、いち早くを投稿することで先行論文として優位を得た。 また、糖尿病網膜症における網膜無灌流領域と動静脈の関係性についても、同様に、ARVOの機関誌の一つである、Investigative Ophthalmology & visual science (IOVS)への掲載を得ることができた。本研究は、糖尿病網膜症の虚血病変の病態に迫る研究として、日本眼科学会誌における外国誌要覧にも掲載され、注目を集める研究となった。 以上より、本研究課題の進捗状況としては概ね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で用いた、広角OCTA画像において網膜無灌流領域を検出するソフトウェア、その無灌流領域と動静脈との距離を自動で判定して比率を求めるソフトウェアについては、糖尿病網膜症以外でも使用可能であり、網膜静脈閉塞症や高血圧網膜症などの他の網膜血管疾患におけるOCTAにも応用できる。これらの疾患の病態の詳細に迫る方向性が新たな課題として考えられる。 また、OCTAも日々進化を続けており、近年、より広く、より早く撮影が可能となるSwept-sourse OCTA機種が発売され、注目を集めている。一度のスキャンで23x20mmを撮影できるため、この機種を用いての解析は、より周辺部の虚血病変に対して有用である。機種変更に伴いソフトウェアの改良は必要となるが、本研究課題をより発展させる上では、最新機種の使用が望まれるため、導入を検討する。
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Causes of Carryover |
昨年度分はほぼ全額研究に使用したが、若干の残額があり、本繰越額は次年度の研究費と合わせて適切に使用する。
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[Journal Article] Accuracy and Reliability in Differentiating Retinal Arteries and Veins Using Widefield En Face OCT Angiography2019
Author(s)
Ishibazawa, A. Mehta, N. Sorour, O. Braun, P. Martin, S. Alibhai, A. Y. Saifuddin, A. Arya, M. Baumal, C. R. Duker, J. S. Waheed, N. K.
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Journal Title
Translational Vision Science & Technology
Volume: 8
Pages: 60
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Retinal Nonperfusion Relationship to Arteries or Veins Observed on Widefield Optical Coherence Tomography Angiography in Diabetic Retinopathy2019
Author(s)
Ishibazawa, A. De Pretto, L. R. Alibhai, A. Y. Moult, E. M. Arya, M. Sorour, O. Mehta, N. Baumal, C. R. Witkin, A. J. Yoshida, A. Duker, J. S. Fujimoto, J. G. Waheed, N. K.
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Journal Title
Investigative Ophthalmology & Visual Science
Volume: 60
Pages: 4310-4318
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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