2020 Fiscal Year Research-status Report
線維柱帯細胞とシュレム管内皮細胞の相互作用による房水流出機構の解明
Project/Area Number |
19K09934
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
藤本 智和 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (50756426)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 俊洋 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (00317025)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | シュレム管内皮細胞 / 房水流出抵抗 / TGF-β2 / IL-6 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、房水流出路として眼圧の調節に携わるシュレム管内皮細胞の生理的機能を線維柱帯との相互作用の点から解析することを目的として検討を行っている。今年度は昨年度に引き続き、TGF-β2刺激によるシュレム管内皮細胞の影響を中心に検討を実施した。シュレム管内皮細胞はTGF-β2刺激により細胞層電気抵抗の増加、細胞外マトリックスタンパクであるファイブロネクチンやコラーゲンタイプⅣの発現亢進を示す。HDAC阻害剤のSAHA添加によりTGF-β2の作用は抑制され、房水流出抵抗の改善を示す。細胞内シグナルの解析によりSmad2/3のリン酸化およびSmadの核内移行に対してはSAHAは影響を与えなかった。一方、非Smad経路であるERKおよびAktのリン酸化については、SAHA添加による有意なリン酸化抑制が確認された。この結果については現在論文投稿中である。 線維柱帯細胞より分泌されるIL-6のシュレム管内皮細胞に対する影響について検討を継続しているが、IL-6単独処置したシュレム管内皮細胞においては、IL-6受容体の発現がないためStat3のリン酸化等の細胞内シグナル変動は認められず、電気抵抗値も有意な変動を認めなかった。可溶性IL-6受容体(sIL-6R)とIL-6の同時添加ではStat3のリン酸化が認められ、電気抵抗は低下することが確認された。TGF-β2刺激時のIL-6の影響について現在解析中であるが、IL-6とsIL-6Rの添加によりTGF-β2刺激による電気抵抗の増加が抑制されるデータを得ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TGF-β2刺激に対するSAHAの影響に関するデータについて論文投稿まで行うことができた。また、線維柱帯とシュレム管の相互作用の理解に向けて線維柱帯より分泌されるIL-6のシュレム管内皮細胞への作用について結果が出てきている。
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Strategy for Future Research Activity |
TGF-β2に房水流出抵抗増加におけるシュレム管内皮細胞の影響についてさらなる理解を深めるため、内皮間葉転換に関連する因子について検討を進めている。TGF-β2刺激時のIL-6の効果について検討を進める。また、TGF-β2刺激で線維柱帯より分泌が変動するサイトカインについて解析を予定しており、まずはqPCRによるmRNAの発現変動を解析する。mRNAでの変動が認められたサイトカインに関しては、培養液中の濃度をELISAにより測定し、シュレム管内皮に対する影響を電気抵抗値やウエスタンブロットにより解析を実施する。子の検討により、線維柱帯とシュレム管内皮細胞の相互作用について理解を深めていく。
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Research Products
(2 results)