2021 Fiscal Year Annual Research Report
線維柱帯細胞とシュレム管内皮細胞の相互作用による房水流出機構の解明
Project/Area Number |
19K09934
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
藤本 智和 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (50756426)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 俊洋 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (00317025)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 緑内障 / TGF-β2 / シュレム管内皮 / 線維柱帯 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、房水流出路として眼圧の調節に携わるシュレム管内皮細胞の生理的機能を線維柱帯との相互作用の点から解析することを目的として検討を行ってきた。今年度は昨年度に引き続き、TGF-β2刺激による線維柱帯およびシュレム管内皮細胞の影響を中心に検討を実施した。HDAC阻害剤のSAHA添加によりTGF-β2の作用は線維柱帯およびシュレム管内皮細胞の両方で抑制され、房水流出抵抗の改善を示す。SAHAの眼圧下降効果はウサギを用いたTGF-β2眼圧上昇モデルにおいても確認できた。細胞内シグナルの解析によりSmad2/3のリン酸化およびSmadの核内移行に対してSAHAは影響を与えなかった。一方、非Smad経路であるERKおよびAktのリン酸化については、SAHA添加による有意なリン酸化抑制が確認された。PI3/Akt経路の抑制に働くPTENの発現がSAHA処置により増加していることを確認し、SAHAの作用の一部はこのPTENの発現誘導によるものであると考えられた。また、SAHA処置後のシュレム管内皮細胞においてBMP7のmRNA発現亢進が認められた。BMP7はTGF-βシグナルを抑制することが報告されており、SAHAのシュレム管内皮細胞における作用にBMP7の関与が示唆された。 TGF-β2刺激によりシュレム管内皮細胞は内皮間葉転換を起こす。ROCK阻害剤はTGF-β2刺激によるαSMA、ファイブロネクチン、N-カドヘリンおよびSnailの発現上昇を抑制し、内皮間葉転換を抑制することが確認された。細胞内シグナルの検討において、特にROCK阻害剤はp38のリン酸化を抑制していた。P38阻害剤処置により、ファイブロネクチンやSnailの発現抑制が認められ、TGF-β2刺激による内皮間葉転換にRho/ROCKシグナルの活性化によるp38のリン酸化の関与が示唆された。
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Research Products
(4 results)