2019 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of a new diabetic retinopathy model of mice
Project/Area Number |
19K09938
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
鈴木 崇弘 東海大学, 医学部, 准教授 (40384896)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 健人 東海大学, 医学部, 准教授 (50235363)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 糖尿病 / 糖尿病網膜症 / 糖尿病網膜症マウス / オートファジー / AMBRA1 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病網膜症は視覚障害の重要な原因であり、レーザー光凝固術・硝子体手術・抗VEGF薬の眼内投与などが行われているが、なお日本における失明原因の第三位となっている。近年、糖尿病を含むメタボリックシンドロームにおけるオートファジーの重要性が注目されている。高血糖は酸化ストレスをもたらすが、オートファジーは、酸化ストレスにより生じる変性成分や、ROSを生じる傷害ミトコンドリアを除去する機能を有する。また、糖尿病網膜症における血管症状は、慢性炎症を背景としていると見ることができるが、網膜におけるオートファジーの機能不全はインフラマソームの活性化を促し、炎症の要因となる可能性が指摘されている。したがって、オートファジーは糖尿病網膜症治療の標的となり得るが、その可否の検討のためには適切なモデルが必要である。本研究ではオートファジーが糖尿病網膜症治療の標的となり得る可能性に鑑み、オートファジー機能不全による新たな糖尿病網膜症のモデルマウス開発を目指す。AMBRA1はオートファジー及び代謝調節に重要な分子であり、最近我々は薬剤依存的にAMBRA1を欠失させるコンディショナルKO(cKO)マウスの作製に成功した。初年度は、同マウスに対しLPSを用いたエンドトキシン誘発ぶどう膜炎(EIU)モデルを作製し,オートファジー反応と眼内炎症における関連性を検討した.網膜における一部の炎症性サイトカインの上昇および,内網状層でのオートファジー反応の低下を認め、網膜における,オートファジー反応の低下による炎症の増悪を示唆する知見が得られた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々は、代謝関連遺伝子に変異を持つ患者iPS細胞より分化誘導した網膜色素上皮細胞、および代謝/オートファジー制御因子であるAmbra1のcKOマウスを作成し研究を進めている。2019年4月の第123回日本眼科学会等で、慢性炎症である糖尿病網膜症、急性炎症であるぶどう膜炎において、Ambra1欠損によるオートファジー不全が眼組織の急性/慢性炎症制御に関わる可能性を報告、さらなる解析中であるが、最近Ambra1・cKOマウスにおける、網膜内ミューラーグリア細胞の増殖亢進の可能性、という新たな知見を得た。その知見については2020年4月の第124回日本眼科学会に発表予定であり、引き続き詳細な解析により、オートファジーと細胞分裂との関わりについても研究を進めたいと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
進捗状況に合わせ、引き続き糖尿病網膜症モデルの解析を進めていきたいが、コロナウイルス感染拡大に伴い研究室内での活動も制限されており、研究に遅れを伴う可能性が高いと思われる。 現在複数の人数を要するマウス網膜の摘出を伴う実験が困難であるため、作成されている凍結網膜を用いて新たな抗体を用いた免疫染色やPCR等の解析を、適宜行っている。
|
Causes of Carryover |
必要な抗体が残金より高額であったため翌年に持ち越し、次年度に金額を合わせて、同抗体を購入予定です。
|