2020 Fiscal Year Annual Research Report
AOによる遺伝性網膜疾患超早期診断補助法の開発とAOデータベースの作成
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19K09940
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
亀谷 修平 日本医科大学, 医学部, 准教授 (30302269)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | HK1 / MIDD / 補償光学眼底カメラ / AO |
Outline of Annual Research Achievements |
エクソーム解析を用いて、網膜視神経変性疾患を引き起こす多数の遺伝子の解析を行い論文として報告した。解析を行った遺伝子はRP1L1遺伝子、POC1B遺伝子、OPA1遺伝子、GNAT1遺伝子、GUCY2D遺伝子、NOTCH2NLC遺伝子、DRAM2遺伝子、EYS遺伝子、CRX遺伝子、HK1遺伝子、RP2遺伝子、CHM遺伝子、PDE6A遺伝子、ミトコンドリア遺伝子などである。これらのうちHK1遺伝子の異常によって生じる常染色体優性網膜色素変性症(Autosomal dominant retinitis pigmentosa; adRP)に関しては、補償光学眼底カメラによる視細胞変性の過程を、細胞レベルで詳細に行って報告した。HK1遺伝子異常による網膜変性では視細胞の変性は緩徐で有り、20歳程度の患者で黄斑周囲2度から8度の部位での視細胞は正常者の半数以下に減少しているものの視力は(1.0)とほぼ正常な視機能を維持できることが分かった。40歳程度では周辺視細胞の変性が著しく、また黄斑周囲2度から8度の視細胞は測定困難となるが、その状態でも黄斑中心の機能は維持され視力に関しては(1.0)と良好に維持されることが分かった。また、ミトコンドリア遺伝子m.3243A>G変異によっておこる、Maternally inherited diabetes and deafness (MIDD)における黄斑変性についても、補償光学眼底カメラによる黄斑部視細胞変性の解析を行った。MIDDによる黄斑変性では、AOではRPEと脈絡膜に明らかな萎縮のない中心窩においても明らかな錐体細胞の密度の低下を認めた。この解析により、MIDDでは中心窩の視細胞の変性がRPEの変性より先に生じている可能性が示唆された。
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