2021 Fiscal Year Research-status Report
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19K09941
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
瓶井 資弘 愛知医科大学, 医学部, 教授 (40281125)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 活性化プロテインC / 虚血網膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はAPCによる血行再建のメカニズムを解明し、将来的に更に有効な分子標的治療・細胞治療の開発や、網膜以外の全身における虚血性疾患への応用を目指す。 網膜虚血性疾患の動物モデルとして、酸素誘導網膜症(OIR)モデルを用い、活性化プロテインC(APC)をマウス硝子体内に投与した結果、網膜無灌流領域の縮小、網膜新生血管の発症抑制効果が得られた。このことを、APCの容量、投与時期を変えて検討した。さらに、この効果に関与する細胞種の同定を行った。高酸素離脱直後の生後12日にAPCを投与した群において、非投与群と比較すると虚血網膜領域のアストロサイトの変性が緩徐であることが確認できた。現在この結果に着目し、血行再建のメカニズムを解明している。 APCの虚血性網膜症に対する臨床研究については、今年度Graefe's Archive for Clinical and Experimental Ophthalmologyに投稿し成果を報告した。虚血性網膜中心静脈閉塞症に対する活性化プロテインCの硝子体内注入の有効性と安全性を検討し、視力と網膜中心部の厚さは,長期にわたって有意に改善した.網膜灌流は10眼中9眼で改善し,3眼でほぼ完全な再灌流が起こった.黄斑浮腫は4眼で1回の注射で改善した。また注入による有害事象は起こらなかった。これまでの成果は、将来的に有効な分子標的治療の開発や、全身の虚血性疾患の治療法開発に資すると期待され、その達成に向け、着実に成果が出つつあると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
APCの効果判定を検討する実験系を組み立てるのに時間がかかった事、研究に充てる時間および人員を十分に確保することができなかったため、当初の研究計画と比べて遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
最も著明な再灌流が得られる条件下での個体を用いて、網膜アストロサイト以外の細胞でも再灌流に関与しているのかを、免疫染色を用いて、経時的に調べる。具体的には免疫染色法を用い、Ki-67などの細胞増殖マーカーで増殖を示す細胞、逆にTunel染色などで陽性を示すアポトーシス細胞を検出し、その細胞種同定を固有のマーカーを用いた二重免疫染色やFACS等を用いて行なう。検出された細胞(群)の挙動を、特異マーカーを用いた免疫染色などで、APC投与後から再灌流が得られるまで経時的に評価する。
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Causes of Carryover |
研究進行の遅延のため、予定していた一部実験が今年度実施できなかった。 前年度に行えなかった実験の経費に繰り越し金を充てる予定である。
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