2020 Fiscal Year Research-status Report
新しい角膜内皮移植術(DMEK)の合併症の克服と術後角膜の生体組織学的特長の解析
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19K09947
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小林 顕 金沢大学, 医学系, 講師 (20303274)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 角膜内皮移植 / レーザー共焦点顕微鏡 / 前眼部光干渉断層計 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度に引き続き、角膜専用レーザー共焦点顕微鏡と前眼部光干渉断層計(OCT)を用いたDMEK後角膜の生体組織学的、形態学的特長の解析を行っている。これまでに、15名のDMEK後患者に対して、レーザー共焦点顕微鏡を用いて、角膜中央の生体観察を角膜上皮、実質、ホスト-ドナー層間、ドナー角膜実質、ドナー内皮の各レベ ルにおいて広範囲に行った。得られた多数の2次元画像をコンピュータプログラム(Adobe Photoshop)を用いて結合し、広範囲モンタージュを作成中である。更 に広範囲モンタージュデータの電子トレース像を作成し、2次元構造を解析を行っている。また、コンピュータプログラム(Image-Pro Express)を用いてホスト、ドナーそれぞれの実質、内皮、点状層間高輝度沈着物、巨大層間高輝度沈着物の密度を計算しているところである。さらに、前眼部OCT(カシア2、トーメー)を用いて、角膜各層の厚みの変化、角膜形状異常などに特に注目して解析を進めている。また、前眼部OCTを用いて、角膜各層のen-face画像(正面画像)の解析もおこなっている。このen-face解析とレーザー共焦点顕微鏡画像の比較検討を行い、前眼部OCTでのen-face画像の有用性について研究を行っている。 今年度はDMEK専用器具の試作品を作成し、現在プロトタイプについて臨床研究を行っている。また、ウサギを用いた角膜移植モデルを動物眼を作成し、詳細な生体組織の検討を進めている。臨床研究の成果として、無後嚢眼に対するDSAEKの際に有用な"life line suture technique"を開発し、難症例に対しても安全なDSEAKを行えるようになった。さらに、日本人眼に対するDMEK後の角膜内皮細胞減少に関する因子を検討しPLoS Oneに報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順調に角膜内皮移植の患者がエントリーされており、これまでに15名のDMEK患者がエントリーされた。OCT手術顕微鏡(RESCAN700,Zeiss)や、高解像度のheads up surgeryを可能にするNgenuity(眼科手術用リアルタイム映像システム)を用いた臨床研究(術中生体角膜の解析)も順調に進んでいる。また、レーザー共焦点 顕微鏡と前眼部光干渉断層計を用いた術後角膜における生体組織解析もおおむね行われており、本計画は順調に進んでいると思われる。 さらに、DMEKに関する臨床研究が進んでおり、論文発表を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度に計画しているNGENUITY3Dビジュアルシステムを用いた動物実験も当初の計画通りに進んでいる。さらに、DMEKドナー把持セッシやDMEKの際の前房内 空気注入カニューラの試作に成功し、市販に向けて、動物実験を進めているところである。また、来年度の計画として、MEK後患者において、OCT手術顕微鏡を用いて手術を行い、ドナーが接着されるまでの様子を全ての術式について生体観察し、デジタルビデオにて保存し、DMEKドナーの前房内での動きを詳細に観察し、内皮細胞への影響、より接着しやすいテクニックが無いかどうか検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症の影響で研究が遅れているため。
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