2019 Fiscal Year Research-status Report
The effect of anti-inflammatory agent, Gnetin in diabetic retinopathy
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19K09958
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
久保田 俊介 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科(藤沢), 特任准教授 (90406041)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保田 みゆき 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科(藤沢), 特任講師 (80468511)
小澤 洋子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (90265885)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 糖尿病網膜症 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病網膜症は近年の生活習慣病や食生活の変化に伴う糖尿病患者に比例して増加し、高齢化による罹患期間の長期化に伴って重症患者が増加することが見込まれる。細胞生物学的手法により近年その分子メカニズムが明らかになってきた。糖尿病網膜症の病態メカニズムは炎症関連分子の活性化に伴う炎症であるという事が広く認識されてきた。従って炎症を制御すれば糖尿病網膜症の病態をコントロールできると考えられる。本研究で使用するGnetinはポリフェノールに分類されるresveratrolの二量体である。東南アジア(特にインドネシア)に自生するグネモン(メリンジョ)という植物の種や実に多く含まれている。インドネシア全体の平均寿命は66-69歳であるのに対し、インドネシアのメリンジョを特に多く摂取する地域の平均寿命が71-75歳と高いことから注目された植物である。その後メリンジョの有効成分がGnetinであることがわかり、多くの研究が行われた。その結果、Gnetinの生理活性として抗酸化作用など多くの生理活性作用が報告された。これまでに申請者らは、糖尿病モデルマウスを用いて、網膜炎症に伴い誘導される網膜血管への白血球接着が、resveratrol投与により抑制され、かつ糖尿病により上昇する炎症関連分子が、resveratrol投与により抑制されることも報告した。炎症が病態の主因である糖尿病網膜症に対し、Gnetinはresveratrolよりも有意に病態をコントロールすることができると考えられるため、本研究を開始した。2019年度は糖尿病モデルマウスを作成し、血管内への白血球接着数が増加することを確認した。そして、糖尿病モデルマウスへGnetinを投与したところ、血管内への白血球接着数は抑制される傾向がわかった。2020年度以降はそのメカニズムを探索していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究において、Gnetinの網膜血管に対する白血球接着抑制効果が一番重要である。その一番重要な項目について、効果を明らかにすることができたという点からも、本研究はおおむね、順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、Gnetinよる血管・炎症変化の分子レベルでの根拠を検索するため、糖尿病網膜症に関わる以下の4系統の分子についてRT-PCRとWestern blotting、ELISAなどを用い、脈絡膜及び網膜における発現をmRNA・蛋白質レベルで解析する予定である。 またGnetinは抗酸化作用を有することがすでに報告され 、糖尿病網膜症では酸化ストレスと病勢が関連する事が報告されている。酸化ストレスは炎症を増悪させることで知られているので、糖尿病網膜症モデルに対しGnetin投与により酸化ストレスのマーカーである 8-OHdGが抑制されるかを測定する予定である。
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Causes of Carryover |
2019年度にCon Aレクチンによる灌流ラベル法を施行したところ、白血球接着数の減少の傾向は認められたが、統計学的に有意とは認められなかった。そのために、2020年度にグネチンの投与量を再検討して、再度灌流ラベル法を施行する予定であり、その際にマウス購入費や試薬(ストレプトゾトシンやグネチン)購入費として次年度使用額を使用することとした。
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