2021 Fiscal Year Annual Research Report
トランスオミックス解析によるぶどう膜炎の新規バイオマーカーの確立と治療法の開発
Project/Area Number |
19K09959
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
臼井 嘉彦 東京医科大学, 医学部, 准教授 (50408142)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ぶどう膜炎 / オミックス解析 / マイクロRNA / 人工知能 / メタボローム |
Outline of Annual Research Achievements |
マイクロRNAの結果については、どのマイクロRNAが3大ぶどう膜炎において最も診断に寄与するかを検討するため、ランダムフォレストによるベストプレディクターを用いてAUCを算出した。その結果、ベーチェット病ではmiR-4078-3pが、サルコイドーシスではmiR-4323が、VKHではlet-7g-3pが比較的中等度のAUCをもって診断予測が高い結果となった。さらに多変量解析で絞ったマイクロRNAの組み合わせを用い、ランダムフォレストによりAUCを算出した結果、ベーチェット病では52種類、サルコイドーシスでは30種類、VKHでは24種類のマイクロRNAを組み合わせることで、ベストプレディクターを用いた単一のマイクロRNAと同等もしくはより高い疾患予測が可能となった。メタボローム解析では、血清代謝パスウェイ解析を行った結果、ベーチェット病ではアルギニン合成に関わる代謝経路、サルコイドーシスではグリシン、セリン、トレオニンなどのアミノ酸代謝経路、VKHではヒスチジン代謝経路が上昇していた。最も診断に寄与する可能性が高い血清代謝物をランダムフォレストにより算出した結果、ベーチェット病では血清チアミンの低下、サルコイドーシスでは血清チアミンの増加、VKHでは血清アデノシンの低下が識別能の高い血清中のバイオマーカーであった。機械学習(ランダムフォレスト)により選択された複数の代謝物を組み合わせた結果、ベーチェット病では7種類の、サルコイドーシスとVKHでは3種類の代謝物を組み合わせることで、AUCがそれぞれ0.85、 0.96、 0.92と比較的高精度に識別することができた。以上の結果より、マイクロRNAと同様、血清代謝物はベーチェット病、サルコイドーシスやVKHの病態解明や新規診断のバイオマーカーの確立につながる可能性が示された。
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