2020 Fiscal Year Research-status Report
緑内障眼圧上昇におけるATX-LPA経路の生理的・病理的役割に関する研究
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19K09965
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
本庄 恵 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (60399350)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相原 一 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80222462)
木村 麗子 (山岸麗子) 東京大学, 医学部附属病院, 特任研究員 (80704642)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 緑内障 / 眼圧 / 生理活性脂質 / 線維柱帯 / 前房水 |
Outline of Annual Research Achievements |
緑内障眼での眼圧上昇は主流出路流出抵抗増大によるとされ、隅角線維柱帯(TM)の線維化、細胞外マトリックス(ECM)の異常沈着、バリア機能亢進等に房水中の生理活性物質の関与が指摘されている。特にTGFβ2は開放隅角緑内障(POAG)での房水中高値が報告されているが、非常な眼圧高値を示す続発緑内障(SOAG)や落屑症候群(XFG)では低値であり、これらの病型で眼圧上昇に関わる因子は不明であった。 そこで我々は、前年度迄の経過として線維化に関与するリゾフォスファチジン酸(LPA)と産生酵素オートタキシン(ATX)に着目し、各緑内障病型を含む多数例の房水解析を行った。結果、緑内障眼でLPA、ATXが有意に上昇、特にSOAG、XFGで高値、眼圧と有意な相関を示すことを見出した。また、ヒト隅角組織および培養ヒト線維柱帯細胞(HTMC)の解析から、緑内障眼でTMにATXの発現上昇がみられ、ステロイド刺激によるHTMCでのATX発現上昇が線維化に関与し、ROCK阻害薬で抑制されることを明らかにした。 そこからさらに各緑内障病型におけるTGFβ2とATXのバランスを比較検討し、ATX-TGFβ2バランスが緑内障病型診断に有用であることを明らかにした。 また昨年、ポスナーシュロスマン症候群(PSS)におけるサイトメガロウイルス(CMV)陽性症例で緑内障併発症例で有意にATX高値、眼圧上昇と相関を認めたことを報告したが、本年度はこれに加えて、PSSにおける角膜内皮にTNF-NFκが関与していること、ROCK阻害薬で抑制されることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
房水解析、および培養細胞を用いた実験系でATX-LPAの眼圧上昇への関与についての解析を順調に進めることができている。今後さらに病型ごとの詳細についての検討を深める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
続発緑内障病態にATXが関与しており、そしてATX、TGFβのバランスが眼圧や病型で異なる可能性を報告することができた。現在作成中の遺伝子改変マウスをもちいて、病態モデルを作成し、ATX-LPA経路の眼圧上昇への関与、TGFβとの関係の詳細をさらに解析する予定である。
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Causes of Carryover |
論文採択がずれこんでおり、研究成果発表にかかる費用は次年度に支出予定である。
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Research Products
(26 results)