2020 Fiscal Year Research-status Report
Drug screening for Retnitis pigmentosa by using reporter knock-in human iPSCs
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19K09977
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
本間 耕平 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任助教 (80462729)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小澤 洋子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任准教授 (90265885)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ヒトiPS細胞 / 網膜視細胞 / 網膜色素変性 / ゲノム編集 / ドラッグスクリーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
網膜色素変性症や加齢黄斑変性症などの視細胞変性疾患は、緑内障、糖尿病網膜症に次いで日本国内の主要な失明原因となっている(厚生労働省資料)。これらの視細胞変性疾患では、様々な遺伝子の変異により、網膜で光を感受する視細胞が細胞死を引き起こす。近年の遺伝子解析技術の発達により、これまでに多くの原因遺伝子が特定されているが(RetNetTM:www.sph.uth.edu/retnet/)、未だこれらは全体の一部であり、それぞれの遺伝子変異に対する視細胞死のメカニズムについて明らかではないため、これらを防ぐ治療法は現在存在しない。そこで本研究では、網膜色素変性患者由来iPS細胞レポーターノックインラインを用いることで、疾患視細胞と正常視細胞を詳細に比較し、細胞死のメカニズムを解析、さらには細胞死を防ぐための薬剤をスクリーニングすることを目的とする。申請者らはいくつかの網膜色素変性患者由来のiPS細胞からレポーターノックインラインを作製することに成功した。そしてこれらのiPS細胞ラインを三次元網膜分化誘導することによって立体的な網膜組織(網膜オルガノイド)へ分化させ疾患のメカニズムを詳細に解析することができた。また、この系の薬剤スクリーニングへの応用のために、iPS細胞を用いた既存約化合物ライブラリーによるスクリーニングを行った。これらにより得られた候補薬剤の効果を遺伝子発現、代謝物解析を行うことによって、網膜変性疾患に対する新しい治療を開発する。また、網膜色素変性の原因の一つにスプライシング異常が確認されているが、現在これをターゲットにした新規遺伝子治療法を共同研究で進めている。本研究のレポーターノックイン技術を用いることによって治療の効果を特異的に評価することができると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はCOVID-19の対策により一時研究を中断したが、その後継続して研究を進められた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、引き続き分化培養を続けていく。また、これまでに得られているmRNAサンプルの解析、代謝物の解析を行うことによってそれぞれの原因遺伝子に対応する比較を行う。さらに、これらの解析から得られた視細胞死の系統解析を行うことで、新規治療法の提案を行う。また、既存薬ドラッグスクリーニングにより、網膜色素変性、加齢黄斑変性に対する新規有効薬物の探索を行い、前半の解析との比較を行いながら薬物の作用機序についての探索を行う。スプライシング異常の新規治療方法開発については、現在、すでに疾患iPS細胞レポーターノックインラインを樹立しており、こちらも順次分化を開始している。
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Causes of Carryover |
本年度COVID-19対策の影響で支出が減っているが、次年度は、分化培養が増加すると考えられるので、それに充当する予定である。
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