2020 Fiscal Year Research-status Report
ドラッグ・リポジショニングによるフックス角膜変性症治療薬の開発
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19K09978
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
榛村 重人 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (00235780)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Fuchs角膜内皮変性症 / ドラッグスクリーニング / 細胞内代謝解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
Fuchs角膜内皮変性症(FECD)は角膜内皮細胞が進行性に障害され視力低下をきたす疾患である。活性酸素や小胞体ストレスの関与が示唆されるがFECDの病態の詳細は不明である。今回我々は、FECD由来疾患iPS細胞を用いてその病態表現型解析を行った。はじめに日本人FECD患者および健常人より採血を行い、T細胞を分離した後Sendaiウイルスを用いて山中因子を用いFECD-iPSを樹立した。次に既報を改変した手法で角膜内皮細胞に誘導した。FECD-iPS由来角膜内皮細胞(以下FECD群)と健常人iPS由来角膜内皮細胞(以下CTRL群)におけるメタボローム解析を行った。FECD群由来誘導角膜内皮細胞はCTRL群と比較してグルコースの取り込みが増加し解糖系が活性化していた。またFECD群ではTCA回路の中間代謝産物の多くが有意に増加し、TCA回路が活性化し、酸化ストレスの増加が示唆された。代謝解析の結果では日本人FECD患者由来の誘導角膜内皮細胞では代謝が亢進しており、ミトコンドリアでのATP合成が活性化し、酸化ストレスが増大していることが明らかになった。そこで次年度における薬剤スクリーニングに際しては一つの指標をカルセインに標識される生細胞あるいは視細胞の判別とした他、細胞内代謝を指標とした新たな条件で実施することとし、関連する至適条件の予備検討を実施し結果を得ることができた。次年度は同条件を基に迅速にスクリーニングをすすめる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はスクリーニングの条件設定について検討を行い、無事候補条件を絞りこむことができた。次年度はハイスループットスクリーニングを実施し、候補薬剤の選定を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度はiPS細胞を用いてハイスループットスクリーニングを実施し、ドラッグリポジショニングの候補薬剤の選定を行う。また候補薬剤が得られたのちにはiPS細胞から誘導した角膜内皮細胞においても病態表現型を確認しうるか複数株を用いて検討を実施する予定である。
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Research Products
(3 results)