2019 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the pathogenesis of the ocular surface diseases associated with meibomian gland lipids, commensal bacteria and sex steroid hormones
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19K09996
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
鈴木 智 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員講師 (30613236)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須谷 尚史 東京大学, 定量生命科学研究所, 講師 (30401524)
白髭 克彦 東京大学, 定量生命科学研究所, 教授 (90273854)
出来尾 格 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任助教 (80338128)
木下 茂 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30116024)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | マイボーム腺 / マイボーム腺機能不全 / 性ホルモン / 常在細菌叢 / 脂質分析 / DNAシーケンス / マイクロバイオーム |
Outline of Annual Research Achievements |
・我々は、2017年にマイボーム腺の生理的機能が月経周期に伴って変化することを報告したが、今回は、月経周期に伴ってマイボーム腺分泌脂(マイバム)の脂質組成が変化する可能性を考え、脂質を構成する脂肪酸(FA)組成について検討した。対象は、月経周期が正常な30歳代女性6例である。月経周期は6期に分けマイバム の採取を行った。後にガスクロマトグラフ質量分析法(GC/MS)でFAを解析した。マイバムのFA組成は月経周期とともに変化し、特に排卵前(エストロゲン濃度の上昇時期)に、パルミチン酸やステアリン酸等の飽和脂肪酸が有意に増加し、オレイン酸等の一価不飽和脂肪酸が有意に減少した。このような変化は、脂質生合成の初期の過程で生じると考えられる。結果として脂質組成が変化し、マイバムの融点、粘度の変化が生じることが、マイボーム腺機能不全、マイボーム腺炎角結膜上皮症、コンタクトレンズ不耐症等の疾患の発症に繋がっている可能性があることを論文にて報告した。 ・我々は、これまで培養検査を用いてマイボーム腺の細菌叢の検討を重ね、加齢に伴う起炎菌の変化を報告してきた。今回は、眼・皮膚疾患の無い健常な男女24例(20-35歳の男女各6例、60-70歳の男女各6例)を対象にDNAシーケンスを用いて眼瞼皮膚、結膜嚢、マイボーム腺の細菌叢について検討した。健常者ではマイボーム腺開口部は皮膚にあるが、マイボーム腺の細菌叢は皮膚とは様相が異なり、結膜嚢と酷似していた。細菌叢は年齢層によって大きく異なり、高齢者では多様性が低下することが明らかとなった。性差は明らかではなかった。眼瞼皮膚、結膜嚢、マイボーム腺における細菌叢の加齢性変化がマイボーム腺の脂質代謝や眼表面の恒常性に影響している可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
健常者におけるマイボーム腺分泌脂(マイバム)の脂質分析、DNAシーケンスを用いた常在細菌叢の分析など、順調に症例数を増加し検討を続けることが出来ている。一方で、マイボーム腺機能不全患者のサンプルについては現在採取しているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、マイボーム腺機能不全患者のマイバムの採取を進め、脂質分析とともにDNAシーケンスを用いた眼瞼皮膚、眼瞼結膜嚢の常在細菌叢との比較、抗菌薬内服前後の細菌叢の変化などを明らかにし、新規治療法の開発へとつなげていく予定である。
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Causes of Carryover |
本年は、脂質分析のための費用に多くを費やし、脂質採取、保存に必要な物品費については予算より少なく、ごくわずか繰越使用額が生じた。このわずかの残額は、貴重な国費であり、R2年度分の研究費と合わせて消耗品の費用として有効活用することを計画している。
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