2019 Fiscal Year Research-status Report
microRNAを用いたVogt-小柳-原田病における新しいバイオマーカーの探索
Project/Area Number |
19K09999
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
岡田 アナベル・あやめ 杏林大学, 医学部, 教授 (50303962)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 交世 杏林大学, 医学部, 非常勤講師 (90458901)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 原田病 |
Outline of Annual Research Achievements |
Vogt-小柳-原田病(以下原田病)は、メラノサイトに対する全身性自己免疫疾患であり、その発症にはメラノサイト特異的T細胞が関与していることが示されているが、原田病の病態における免疫学的な分子機序については不明な点が多い。microRNA(miRNA)は20-25塩基からなるnon-coding RNAであり標的mRNAの発現を制御することで生体反応の微調整因子として機能している。miRNAは血液でも比較的安定した状態で存在していることから近年では癌や免疫領域の新たな診断・予後・治療反応性を予測するバイオマーカーとして注目されている。本研究課題ではmiRNAを標的とした原田病における重症度評価、予後予測に繋がる新たなバイオマーカーの確立を目指し、1)原田病発症初期の血液(血清)や髄液中miRNA発現プロファイルを網羅的に解析、2)他のぶどう膜炎と比較して原田病に特異的に発現するmicroRNAを同定、3)これらのmiRNAの発現量と視力予後や再燃の有無との関連、4)ヒトぶどう膜炎の動物モデルである実験的自己免疫性ぶどう膜網膜炎(EAU)でのmiRNAの発現との関連について検討を予定した。 現在、上記1)-3)について原田病・他のぶどう膜炎患者からの検体採取を行っているが、新型コロナウイルス感染症の影響により、当院へのぶどう膜炎新患患者数が減少しており、原田病患者血清中のmicroRNA発現解析、他のぶどう膜炎や健常人の血清との比較検討可能な検体数に至っていない。今後さらに症例数が蓄積されてきたところで1)-3)の検討を進める予定である。4)についてはEAUを発症したラットの脾臓において抗炎症作用を有するmiRNA-146aやmiRNA-223の発現上昇が観察された。今後は原田病や他のぶどう膜炎の血液中において同様の傾向がみられるか検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和1年度ではmiRNAを標的とした原田病における重症度評価、予後予測に繋がる新たなバイオマーカーの確立を目指し、1)原田病発症初期の血液(血清)や髄液中miRNA発現プロファイルを網羅的に解析、2)他のぶどう膜炎と比較して原田病に特異的に発現するmicroRNAを同定、3)これらのmiRNAの発現量と視力予後や再燃の有無との関連、4)ヒトぶどう膜炎の動物モデルである実験的自己免疫性ぶどう膜網膜炎(EAU)でのmiRNAの発現との関連ついて検討を予定した。現在、上記課題のため原田病・他のぶどう膜炎患者、健常人からの検体採取を行っているが、新型コロナウイルス感染症の影響により、ぶどう膜炎新患患者数が減少しており、原田病患者血清中のmiRNA発現解析、他のぶどう膜炎や健常人の血清との比較に必要な検体数に至っていない。今後さらに検体数が蓄積されてきたところで1)-3)の解析を行う予定である。4)についてはEAUを発症したラットの脾臓において抗炎症作用を有するmiRNA-146aやmiRNA-223の発現上昇が観察された。今後は原田病や他のぶどう膜炎の血液中においても同様の傾向がみられるか検討する予定である。以上より予定していた実験計画は1)-3)の進行が遅れており、4)はほぼ予定どおり施行できているため令和1年度の達成状況は中程度と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度ではmiRNAを標的とした原田病における重症度評価、予後予測に繋がる新たなバイオマーカーの確立を目指し、1)原田病発症初期の血液(血清)や髄液中miRNA発現プロファイルを網羅的に解析、2)他のぶどう膜炎と比較して原田病に特異的に発現するmicroRNAを同定、3)これらのmiRNAの発現量と視力予後や再燃の有無との関連、4)ヒトぶどう膜炎の動物モデルである実験的自己免疫性ぶどう膜網膜炎(EAU)でのmiRNAの発現との関連の検討を予定している。 1)-3)については原田病、その他のぶどう膜炎(同定不能群含む)、健常人から採血、分離した血清からmiRNAを含めたtotal RNAを抽出、cDNAを合成後、gene miRNA 4.0 assay(ThermoFisher Scientific社)を用いてmicroRNAの発現についてクラスター解析し、原田病に特徴的は発現パターンを同定、原田病において有意に発現の高い、または低いmiRNAを同定し、それらの発現レベルと治療開始後の反応性、脈絡膜厚の推移、視力予後、再燃頻度との関連について解析する。また原田病に特徴的な発現を示すmiRNAの標的となりうる遺伝子についてはTargetScanなどのデータベースを用いて解析する。4)については原田病において発現の有意な上昇、低下のみられたmiRNAがEAUの眼局所(網膜)、血液、脾臓やリンパ節においても同様の発現傾向を示すのか検討、さらにそれらのmiRNAの作用を促進、または阻害する合成miRNAを硝子体内へ投与することでEAUの重症度の変化がみられるか検討する。
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Causes of Carryover |
令和1年度は原田病における重症度評価、予後予測に繋がる新たなバイオマーカーの確立を目指し、1)原田病発症初期の血液(血清)や髄液中miRNA発現プロファイルの解析、2)他のぶどう膜炎と比較して原田病に特異的に発現するmicroRNAの同定、3)これらのmiRNAの発現量と視力予後や再燃の有無との関連の検討を予定したが、原田病患者と他のぶどう膜炎、健常人の血清との比較に必要な検体数に至っていないため、予定していたRNA抽出、cDNA合成、gene miRNA 4.0 assayを用いたアレイ解析、クラスター解析などが施行できていない状況である。そのため1)-3)の解析は次年度に繰り越しとなった。 令和2年度では前年度に引き続き原田病における重症度評価、予後予測に繋がる新たなバイオマーカーの確立を目指し、1)原田病発症初期の血液(血清)や髄液中miRNA発現プロファイルの網羅的な解析、2)他のぶどう膜炎と比較して原田病に特異的に発現するmicroRNAの同定、3)これらのmiRNAの発現量と視力予後や再燃の有無との関連、4)原田病のmiRNA発現プロファイルと実験的自己免疫性ぶどう膜網膜炎(EAU)のmiRNA発現プロファイルの共通点、相違点の検討を予定している。
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Research Products
(16 results)
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[Journal Article] Association study of ARMC9 gene variants with Vogt-Koyanagai-Harada disease in Japanese patients2019
Author(s)
Ohno T, Meguro A, Takeuchi M, Yamane T, Teshigawara T, Kitaichi N, Horie Y, Namba K, Ohno S, Nakao K, Sakamoto T, Sakai T, Nakano T, Keino H, Okada AA, Takeda A, Fukuhara T, Mashimo H, Ohguro N, Oono S, Enaida H, Okinami S, Mizuki N
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Journal Title
Ocul Immunol Inflamm
Volume: 27
Pages: 699-705
DOI
Peer Reviewed
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