2021 Fiscal Year Research-status Report
エピジェネティクス機構制御によるケロイド・肥厚性瘢痕に対する新規治療法の開発
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19K10006
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
高成 啓介 愛知県がんセンター(研究所), がん病態生理学分野, 研究員 (80378190)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 優 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (00739724) [Withdrawn]
亀井 譲 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (10257678)
蛯沢 克己 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (20397459)
新城 恵子 名古屋大学, 医学系研究科, 講師 (40641618)
内堀 貴文 名古屋大学, 医学部附属病院, その他 (30625760) [Withdrawn]
大石 真由美 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (00880098)
神戸 未来 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (50597862)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ケロイド / 肥厚性瘢痕 / エピジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
ケロイドは外的刺激などにより組織の繊維が増殖性に反応し、異常瘢痕を形成するもので、疼痛・掻痒・瘢痕拘縮といった症状に悩まされる疾患である。罹患者は国内で年間10万人といわれている。ケロイドは周囲の組織へ進展し、切除しても再発を繰り返すため難治であり、現在の治療はステロイドの外用や局所注射、切除と放射線治療などが行われているが、これらは基本的には対症療法であり、その原因の解明および病因に沿った治療が望まれている。本研究は、ケロイドにおけるエピジェネティクス機構の一端を解明し、エピジェネティクス治療薬によるケロイドの治療が可能であるかを検証することを目的として行った。本年度は昨年度に引き続き、手術時にヒトから採取した瘢痕(ケロイド、肥厚性瘢痕、正常瘢痕)を用いてケロイド組織特異的な遺伝子発現パターンに着目し、RNAシークエンス解析を行った。これにより以下の結果が得られた。 ケロイド組織と正常瘢痕組織の活性化線維芽細胞の豊富な領域の比較したところ、いくつかの発現変動遺伝子が抽出された。次に、これらのケロイド特異的な発現変動遺伝子に対して定量PCRを行ったところ、Gene1(仮称)はケロイド組織中でmRNA発現量が有意に上昇していることが検証できた。また同時に、免疫組織化学染色においてもGene1タンパクは正常瘢痕組織よりもケロイド組織中で高く発現していることが分かった。今後はin vitroでのGene1陽性線維芽細胞の機能解析を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度までにRNAシークエンス解析でケロイド特異的な遺伝子発現パターンの同定を行っており、ある程度の成果が得られているが、ケロイド組織の検体収集が予想以上に困難であった。そのため予定していたin vitroでの実験が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までにGene1がケロイド組織中で高発現することを発見したため、Gene1発現線維芽細胞の機能解析を準備中である。
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Causes of Carryover |
RNAシークエンスに時間がかかったことにより細胞実験が開始していないため次年度使用額が生じた。今年度の遅延分を次年度で行うため、in vitro解析に必要な培養機器、試薬等の消耗品を購入する予定である。
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