2019 Fiscal Year Research-status Report
Geometric organization of collagen fibers in human dermis and deformation mechanism of the fibers underlying pliability of the skin
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19K10007
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
齊藤 晋 京都大学, 医学研究科, 准教授 (00450239)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | コラーゲン線維 / 弾性線維 / 皮膚 / ヒト / 幾何学的構造 / 多光子顕微鏡 / 二軸伸展 / 組織透明化 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト皮膚の柔軟性の基礎となるメカニズムを調べるため、真皮を構成するコラーゲン線維や弾性線維の構造を多光子顕微鏡、組織透明化法、二軸伸展法を用いて観察し、定量解析する研究を行った。 まず等2軸伸展器を製作した。人工素材に二軸伸展を加え、変形する過程をビデオ撮影した。人工素材の線維が相似形に拡大されたことから、機器の正確性が証明された。続いて二軸伸展下のヒト真皮網状層を多光子顕微鏡で連続的に観察、撮影し、コラーゲン線維と弾性線維の幾何学的構造の変化を評価した。定量評価は線維が細く、個々の線維ベクトルが同定可能な弾性線維網を用いて行った。伸展前と伸展後の主成分ベクトルのコサイン類似度を計算した結果、二軸伸展では弾性線維は二軸伸展下でも最初の方向を保ったまま伸展することがわかった。続いて引張試験を行い、伸展倍率1.25倍が顕微鏡観察のために適当と判断した。 ヒト全層皮膚サンプルを用いて等2軸伸展し、その後にCUBIC法を用いて組織透明化処理を行い、多光子顕微鏡で2µm間隔で全層スタック撮影を行った。未伸展状態の皮膚と比較して、二軸伸展した皮膚では表皮から真皮網状層まで、より詳細にコラーゲン線維が描出された。それぞれのコラーゲン線維は直線となり、線維間隙が明瞭となっていた。全スタック画像に対して二次元フーリエ変換を行い、コラーゲン線維の配向およびその程度を求めた。深さと配向程度の関係から、配向程度のピークに一致してコラーゲン線維の束が出現することを見出し、ピーク数とその深さを求めた。コラーゲン線維束の配向角度を観察範囲全体でヒストグラムとして表示し、分布を評価した。コラーゲン線維束は2軸または3軸の分布を示した。またコラーゲン線維束の配向角度と同レベル、同領域における弾性線維の配向角度の差を評価すると、コラーゲン線維と弾性線維は共局在し、同じ方向に分布することがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト真皮の全層撮影に成功し、コラーゲン線維の幾何学的構造に対して定量解析を行った。この実験の過程で、コラーゲン線維の動的観察手法も確立された。動的観察によってコラーゲン線維の変形を描出することが可能だが、変形を定量的に解析する手法の開発が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度の研究ではヒト真皮全層の幾何学的構造解析を行ったが、皮膚に特徴的な非線形的機械的特性と線維の幾何学的構造の変化については調べられていない。これは変形する真皮の構造変化を全層でとらえることが困難であるからである。2020年度以降は新鮮皮膚の構造変化を比較的厚みをもって撮影できる手法の構築を行う。
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Research Products
(3 results)