2021 Fiscal Year Research-status Report
自己末梢血単核球増幅細胞を用いた脂肪組織移植生着率の向上のための基盤技術開発
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19K10014
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
藤村 聡 順天堂大学, 医学部, 特任助教 (00517542)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 里佳 順天堂大学, 医学部, 教授 (70509827)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 脂肪組織 / 血管内皮前駆細胞 / 細胞移植 / 移植生着率向上 |
Outline of Annual Research Achievements |
乳がん患者乳房切除術後の乳房再建成績向上による患者QOL改善のため、脂肪組織とともに血管形成を誘導する自己末梢血単核球生体外増幅(MNC-QQ細胞)を移植することで移植組織内に酸素、栄養の供給を行い、移植脂肪組織生着率の向上を目的とする。 昨年度までにマウス血管内皮前駆細胞であるKSL(c-kit陽性, Sca-1陽性, Lineageマーカー陰性)細胞をQQ培養へ供したKSL-QQ細胞を脂肪組織と共に移植した群では、脂肪移植のみ、KSL細胞群、マウス脂肪幹細胞(ASC)群との比較において移植組織生着率向上、血管密度向上及び新生血管内GPF陽性KSL-QQ細胞取込、脂肪組織の質向上、線維化抑制、炎症抑制を示し、脂肪移植時にマウスKSL-QQ細胞を混合し移植する方法が脂肪再建術成績向上に寄与する可能性を示してきた。本年度はこの知見を基に本学倫理審査の承認を得て実施するヒト脂肪組織及びヒト末梢血単核球(PBMNC)、MNC-QQ細胞またはASCに代わりヒト脂肪組織由来間質血管細胞群(SVF)を用いた検証を行った。 本研究に用いたヒトMNC-QQ細胞は既に報告されているようにPBMNC及びSVFに比し高い血管再生能と抗炎症性を示した。これらの細胞と脂肪組織混合したのち免疫不全マウス(ヌードマウス)へ移植し、1週間及び7週間後に残存する脂肪組織を比較したところ、1週間、7週間ともにMNC-QQ細胞群及びSVF群で有意に残存脂肪量が向上しており、生着率の向上が示された。一方で回収した組織における血管数を比較したところ、MNC-QQ細胞群で有意に血管数の向上が見られた。さらに残存脂肪量と血管数の間に相関がみられ、血管形成能が脂肪生着率向上に寄与することが推測された。 次年度、引き続きヒト脂肪組織と各種幹細胞の混合した組織移植を行い、ヒト脂肪移植の生着率向上効果を検証する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
倫理審査の承認を得て実施しているヒト組織を用いた検討がCOVID-19感染拡大のため手術件数の減少などにより入手困難となり、使用できる検体数に限りがあるため予定よりも遅延している。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までの成果によりヒト及びマウス細胞による有効性が示唆された。次年度は引き続きヒト検体(血液由来細胞・脂肪組織及び由来細胞)を用いて検討を行う。現在、本年度確立したヌードマウスを用いたヒト由来細胞・組織及びこれらの細胞移植について、ヒト検体(血液・脂肪組織)を用いた自己末梢血単核球生体外増幅(MNC-QQ細胞)の有効性について引き続き検討を実施している。さらに可能であれば、昨今研究が進んでいる細胞分泌物について検討する。
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Causes of Carryover |
COVID-19感染拡大下、脂肪除去等の手術件数に限りがあり、同意取得の上での充分な検体数の確保が困難となった。さらに国内外における学会等への出張に制約があり、本研究期間を延長する手続きを行った。
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Research Products
(1 results)