2019 Fiscal Year Research-status Report
遊離脂肪注入術における移植床の至適組織内圧と移植床組織環境の準備方法に関する探求
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19K10022
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Research Institution | Southen Tohoku Research Institute for Neuroscience |
Principal Investigator |
栗山 元根 一般財団法人脳神経疾患研究所, 形成外科, 科長 (40457388)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
窪田 吉孝 千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (10375735)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 脂肪移植 / 脂肪組織由来幹細胞 / エピジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
顕微鏡下微少血管吻合を行う血管柄付き遊離組織移植に比べ,脂肪吸引・注入移植術(遊離脂肪注入術)は簡便であるが,移植量が多いとその多くは壊死・吸収されてしまうという問題点がある。本研究は、遊離脂肪注入術での移植床の組織内圧と移植脂肪生着の関係について明らかにすることを目的した。これにより,至適な移植床の組織環境が明らかになり,術前に至適な移植床の準備(graft bed preparation)が可能となることで、生着率の向上と移植量の増大が期待できる。皮下脂肪組織からは複数種類の細胞群を採取できる。なかでも、コラゲナーゼ処理の後、遠心分離を行い沈殿分画から得られる脂肪組織由来幹細胞(Adipose-derived stem cells, ASCs)は血管新生能、組織修復能、多分化能など多彩な性質を発揮することができる。遊離脂肪移植時に移植された脂肪組織由来幹細胞は周囲環境と密接な相互作用を行うことが知られている。これは脂肪組織由来幹細胞は周囲環境の影響を受けるのみならず、周囲環境に積極的に働きかけることで移植細胞生着と周囲環境改善を図ることを意味している。しかし、遊離脂肪移植時に避けられない現象である組織内圧上昇が移植細胞機能に与える影響および移植細胞自身が組織内圧上昇に対して働きかける作用の詳細は不明である。こうした相互作用を解析する前提として脂肪組織由来幹細胞が本来持つ機能ポテンシャルを把握することは重要である。エピジェネティクスは細胞の持つ本来の機能の根幹を成すと考えられている。これまで不明だった移植組織内圧上昇に対するメカノリセプターを中心とした遺伝子群のエピジェネティクス解析を行い脂肪組織中の他の細胞群との違いを明らかにした。今後、移植組織内圧に対する反応のパスウエイ解析を行い、組織内圧上昇による細胞反応の詳細を改名する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脂肪組織由来幹細胞の分離、培養が予定通り進んだため。また、細胞解析系が予定通り進んだため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで殆どわかっていない、脂肪組織由来幹細胞の圧力上昇に対するエピジェネティクスの反応、遺伝子発現の反応を最新解析技術を駆使して明らかにする。
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Causes of Carryover |
年度前半に行った予備実験は、既存の施設内備品などを中心に使用したため、当初の予定より使用額が減少している。本年度は本実験を行うため、前年度未使用分を次年度に繰り越した。
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