2019 Fiscal Year Research-status Report
大気圧プラズマのケロイド・肥厚性瘢痕に与える影響に関する基礎的研究
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19K10025
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
亀井 譲 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (10257678)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 宏昌 名古屋大学, 低温プラズマ科学研究センター, 教授 (00508129)
蛯沢 克己 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (20397459)
高成 啓介 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (80378190)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 大気圧プラズマ / 肥厚性瘢痕 / ケロイド |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、細胞レベルでの大気圧プラズマの肥厚性瘢痕・ケロイドに対する影響を調べるため、ケロイド・肥厚性瘢痕組織において重要な挙動を示す細胞に焦点を当てた。市販のヒト正常真皮由来線維芽細胞とケロイド由来線維芽細胞を購入し、培養を行った。プラズマ照射した培地の2倍希釈系列を作成し、これを培地に添加して3日間培養し、IncuCyteにて細胞増殖能を解析した。両細胞とも希釈するに従い細胞はよく増殖したが、1/32倍以下の濃度ではでは一定となった、また、いずれの濃度においても細胞増殖において両群間に統計学的有意差を認めなかった。 ケロイド・肥厚性瘢痕動物モデルで、大気圧プラズマによる発症・進展予防や治療の効果検討を行うため、その作成を行った。肥厚性瘢痕モデルは、ヌードマウス背部皮膚を切除し皮膚欠損を作成、同部に肥厚性瘢痕を移植し、タイオーバードレッシングを行った。移植1週間後タイオーバーを除去し、肥厚性瘢痕は生着していたかに見えたが、時間とともに表皮壊死から皮膚全層壊死となった。次にヌードマウス背部皮下ポケットを作成し、ポケット内に肥厚性瘢痕を移植した。2週間後肥厚性瘢痕上の皮膚を切除し、肥厚性瘢痕を露出させた。これも徐々に表皮から肥厚性瘢痕内まで壊死していったが、全層壊死にはならなかった。そのため、肥厚性瘢痕の深部を半分切除し、同様に皮下ポケット内に移植した。2週後に肥厚性瘢痕上の皮膚を切除したところ、3週間経過しても肥厚性瘢痕は生着していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
正常線維芽細胞増殖を抑制せず、筋線維芽細胞増殖を抑制するプラズマ照射液の条件が現時点で見つけられず、それ以降の実験が進められない状況であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは研究分担者らと検討の上、本年度以上のプラズマ照射培地を作成し、ヒト正常線維芽細胞の増殖を抑制せず、筋線維芽細胞の増殖を抑制するような条件を詳細に検討し、プラズマ照射培地の最適化を行う。その上で、申請書の計画に沿って行う。
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Causes of Carryover |
研究が遅れているため、その後に行う予定であるDNAマイクロアレイやELISAによる定量を行えなかったため、次年度利用額が生じた。来年度はプラズマ照射培地での細胞増殖に対する影響を検討し、治療に有効な方法の至適化を行う。その後は研究計画に即して実験を行い、これに使用する予定である。
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